Seminar reportセミナーレポート

’25 8/2,3(土,日)『顎関節症ライブ実習コース』開催されました!前半
顎関節症実習レポート前半
第10期 咬合認定医コース 第3回 顎関節症ライブ実習 が開催されましたのでご報告させていただきます。
2025年8月2〜3日、第10期咬合認定医コース第3回として顎関節症ライブ実習が開催されました。7月の総義歯実習に続き、患者様を実際にお招きし、臨床現場に近い形で治療を学ぶ貴重な機会となりました。
初めにIPSG包括歯科医療研究会 副会長 嶋倉史剛先生のご挨拶に続き、IPSG代表 稲葉繁先生による講義が行われました。
⭕️講義
顎関節症に関する研修の歴史と背景
• 1960年代より、稲葉先生ご自身が国内外で咬合・顎関節症に関する研鑽を積まれ、多くの世界的権威から直接学ばれた経緯が紹介されました。
• 顎関節症は精神的要因ではなく、咬合と密接に関係する疾患であることが強調されました。
• 特に N.F. Guichet先生から学んだ咬合理論の統合、咬合病の概念、姿勢・筋骨格系との関連性、などが今日の治療体系に大きな影響を与えていることが示されました。
顎関節症への考え方の変遷
• 1930年代のCosten Syndromeに始まり、Ramfjod、Posselt、Krogh Poulsen、石原先生や1970年代のLaskinによる筋機能障害説、1980年代の画像診断の進歩など、国際的な変遷が整理されました。
• 日本およびヨーロッパでは一貫して咬合異常を重視する立場が維持されていることが示され、現在はストレスや習癖を考慮した合理的咬合治療が進められていると説明されました。
ライブ実習
⭕️患者様の主訴と診査
• 半年間続く右顎関節の痛みと開口障害。耳奥へのキーンとした痛みも認められる。
• MRI検査にて、両側の関節円板前方転位(右は内方転位を伴う)が確認された。
⭕️治療アプローチ
• マニュピレーションによる関節円板の整復を実施。開口量は最初19mmから、再度調べて25mm。操作により41mmまで改善。
• 咬合診査・口腔内記録・フェイスボウトランスファー・セントリックレコード採得・ドップラー聴診など、一連の臨床手順が公開されました。
⭕️稲葉先生の解説
• 原因療法の重要性:マッサージやカイロプラクティックは一時的な対症療法であり、再発防止には咬合からのアプローチが不可欠。
• 中心位の概念:点ではなく範囲として捉え、治療開始前に関節を正しいアライメントに戻すことが原則。
• 咬合干渉の診断:模型診断を通じて、中心咬合位・前方運動・側方運動における干渉部位を正確に把握する必要性が解説されました。
⭕️講義・教育
IPSG副会長 岩田光司先生
• 顎関節症の分類や脱臼症例の整復法を症例映像を交えて解説。
• 顎関節の動きを肩関節で例える分かりやすい説明や、MRI・CTの比較による診断の要点も紹介されました。
⭕️解剖・咬合理論のおさらい
• 頭蓋骨、咀嚼筋や後頸部筋群の作用確認。
• 「梃子作用」や「将棋の駒理論」を用いた咬合理解。顎関節には3級梃子が理想であることが強調されました。
⭕️初日まとめ
今回の実習を通じて、
• 顎関節症治療においては咬合を基盤とした原因療法が不可欠であること
• MRI画像診断・マニュピレーション・模型診断といった診査・診断手順の重要性
• 患者様の生活習慣や姿勢までを含めた包括的な治療の必要性
を改めて学ぶことが出来ました。
実際の患者様を前に学ぶことで、書籍や講義だけでは得られない臨床感覚を体得できたことは、大変貴重な経験となりました。
後半に続きます。
Weber dental labor 越津 穂
参加受付中のセミナー
開催予定のセミナー
開催日 | セミナー名 | 講師(予定) |
---|---|---|
2025.11.16.SUN | ’25 11/16(日)筋機能療法・エントレ | 稲葉繁先生 飯塚能成先生 |
2025.12.14.SUN | ’25 12/14(日)IPSG Scientific Meeting 2025 ~ 学術大会 〜 | 現在未定 |





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