Seminar report

’25 8/2,3(土,日)『顎関節症ライブ実習コース』開催されました!後半

’25 8/2,3(土,日)『顎関節症ライブ実習コース』開催されました!後半

顎関節症ライブ実習レポート(第10期咬合認定医コース 第3回 2日目)開催されましたのでご報告させていただきます。

⭕️IPSG代表 稲葉繁先生ご講義
[咬合器の特徴]
ハノー、Panadent、Dentatus、KaVo protar evo7 それぞれの特徴を解説。

[顎関節、外側翼突筋]
円板脱落のメカニズムは未解明。稲葉先生は「梃子現象で顆頭が下がる」という仮説を提示。
働かないとされていたスーペリアヘッドについて、愛知学院大学 平場勝成教授の研究により、外側翼突筋スーペリアヘッドが牽引することが判明。

⭕️岩田先生による実習
セントリックレコードの信憑性確認、梃子現象・早期接触確認を実技指導。

稲葉先生による誘導
咬筋・内側翼突筋・外側翼突筋・側頭筋を軽く刺激し、下顎張反射の伸張を利用して楽に中心位へ導く方法を紹介。

林先生
顎機能検査:EPAテスト
中心位と中心咬合位のズレを明瞭に把握可能。咬合調整後、十字が一致することを確認。

稲葉先生 咬合調整
・ギシェー法に基づき、中心位 → 前方運動 → 犬歯誘導 → ニアーセントリックの順で確認。
・咬合紙を用いてズレを確認・調整し、EPAテストで一致を確認。
模型・ディグマ・画像を用いた診断が重要とお話されました。
・術前後比較
・姿勢写真:右肩下がり → 改善傾向あり。
・顔貌写真:咬筋の張り・口唇の左右差が消失。
・口腔内写真:咬合平面や歯列不正を明確に記録。
・咬合器装着・分析
・正中・咬合平面の確認。
・スピーの彎曲、小臼歯の早期接触を確認。
・咬合調整後、EPAテストの十字が重なり改善。

⭕️林聡一先生
・KaVo アルクスディグマⅡによる顎機能検査
治療前後の記録を残し、顆頭のズレや変化を分析。
・診断結果の読み方指導
治療による変化を比較・説明。

⭕️岩田先生 講義・症例解説
3症例解説
① 40代男性:前歯審美障害・筋痛・めまい
② 70代女性:顎関節違和感・補綴物破損・義歯不安定
③ 50代男性:滑膜性軟骨腫症(顎関節症とは異なる)
臨床症状:顎関節の疼痛、腫脹、開口制限と顎関節雑音、開口時の下顎偏位などがある
変形性顎関節症と区別がつきにくい

状況:滑膜の表層下組織や間質結合組織内が化生変化して軟骨性結節を生じる。それが滑膜より遊離体が下顎頭を囲む様になる

原因:不明

外科的治療法
・顎関節鏡支援下手術
・顎関節開放下での摘出や滑膜切除術
・病態に応じて関節円板切除、下顎頭切除

・治療法に関する明確な判断基準はない

・マニュピレーション
・早期接触なし
・側方運動時 干渉なし
・27 インプラント部 噛んでいない
・EPAテスト 何度やっても定まらない

[下顎頭を上方へ圧迫する原因となる咬合]
・咬合支持が無い…大、小臼歯の欠損症の放置
・咬合接触が弱い…臼歯の歯冠修復、欠損補填治療

[治療]
スプリント
・円板の厚さを参考にPDRインサートを使って製作したスプリントを入れて咬合挙上。顎関節を下げる。後に全顎修復。

⭕️稲葉先生 まとめ
・筋症状や関節音は、咬合の安定で改善可能。
・記録・エビデンス収集を徹底。
・咬合を学ぶことは歯科治療全般の基礎。
・正しい治療姿勢・削合技術を習得し、臨床に活かすべきと指導。

⭕️ご紹介
・愛知学院大学 生理学 平場勝成教授の研究
外側翼突筋スーペリアヘッドの役割を筋電図で確認。関節円板前方転位との関連を考察。
IPSGにお招きしてお話いただいたことがあると伺いました。

⭕️嶋倉先生
「歯科がもたらす幸せメソッド」と題し
日本嚥下機能訓練協会(J.S.T.A)の活動、嚥下訓練サポーター養成講座、第1期研修会の案内をご紹介いただきました。

2日目まとめ

ライブ実習では、
・咬合器、ディグマ、EPAテストを駆使した診断・調整
・術前後の比較から読み取る全身・顔貌・口腔内の変化
・症例を通して臨床的アプローチと科学的裏付けが学ぶことができました

岩田先生が仰られたように顎関節症だから特別ではなく、未然の調整による予防が重要であり、日常臨床への応用こそが本講義・実習の目的と思います。

来期受講をお考えの先生方にも、実際の診療に近い実習が見られる魅力が伝わります事を願っております。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

Weber dental labor 越津 穂

開催予定のセミナー

開催日 セミナー名 講師(予定)
2025.11.16.SUN ’25 11/16(日)筋機能療法・エントレ 稲葉繁先生
飯塚能成先生
2025.12.14.SUN ’25 12/14(日)IPSG Scientific Meeting 2025 ~ 学術大会 〜 現在未定

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