Seminar reportセミナーレポート
’16 4/3(日) 【大阪開催】『インプラント時代のテレスコープシステムセミナー』開催されました
2016年4月3日大阪KaVoにて『インプラント時代のテレスコープシステム』が開催されました。
日頃、IPSGは東京を拠点に活動していますので、今回のような関西地方での開催はIPSGでは初めての試みでした。
関西地方での初めての開催でしたが、多くの歯科医師、歯科技工士の先生方にお集まり頂きまして、IPSG一同心から感謝しております。
今回の受講生の先生方から、
・きちんとしたコーヌステレスコープを知りたい。
・インプラントができない患者様に、質の良い義歯治療を提供したい。
というお声をたくさん頂きました。
今回の講師は、IPSG理事代表である稲葉智弘先生(左)、IPSG副会長である岩田光司先生(中央)でした。
右はいつもKaVoの社員と間違われてしまう、稲葉歯科医院の小西浩介がサポートさせて頂きました。
はじめに、稲葉智弘先生より、日本で行われているコーヌステレスコープについてお話し頂きました。
コーヌステレスコープは、ロストテクニックだという認識をお持ちの先生方は多いのではないでしょうか?
日本では20年程前に、テレスコープシステムの一つであるコーヌステレスコープが、多くの歯科医師の中で爆発的に流行しました。しかし間もなく、予後不良であるなどの理由から廃れてしまったことは、多くの先生方がご存知だと思います。
この症例は、よく見かける日本独特のコーヌステレスコープです。
このような義歯にお悩みの患者様が、稲葉智弘先生のクリニックに相次いで来院されるそうです。
日本ではテレスコープシステムというと、ほとんどコーヌステレスコープのみしか知られていません。
したがって、このように症例に問わずコーヌステレスコープを使用してしまい、予後不良になってしまう症例を臨床で見かけることが多いように感じます。
また、このように内冠をフリーハンドで研磨しており、内外冠の維持が落ちてしまうのも日本独特のコーヌステレスコープの特徴の1つではないでしょうか。
今回、稲葉智弘先生がもっとも強調されていたことがあります。
それは、本場ドイツのテレスコープシステムはコーヌステレスコープのみではなく、症例に応じてリーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、シリンダーテレスコープなどを使い分けていることを知ってほしいということでした。
したがって、先程のような症例はコーヌステレスコープではなく、レジリエンツテレスコープという少数残存歯に適しているテレスコープが適応であるということです。
そして岩田光司先生からも、各テレスコープシステムの特徴、適応症、禁忌症を説明して頂きました。
また、先程の内冠のように最終研磨をフリーハンドで仕上げるのではなく、内冠軸面横型研磨機という機器を用いて機械研磨することで、精度の高いコーヌステレスコープを製作できることができます。
このように、ドイツでの正式なコーヌステレスコープの製作方法、製作ステップを教えて頂きました。
そして、岩田光司先生からも臨床で頻繁に遭遇する、片側遊離端欠損の症例に対するテレスコープの選択をお話しして頂きました。片側遊離端欠損の場合、よほど条件が良くない限りはコーヌステレスコープでは難しいということでした。
そのような症例には、リーゲルテレスコープが大変適しています。
その理由も、わかりやすいスライドで解説して頂きました。
このリーゲルテレスコープについても、岩田光司先生から詳しいご説明がありました。
このリーゲルテレスコープは、コーヌステレスコープでは対応してはいけない症例にも使用できるため、非常に有効な補綴方法であります。
リーゲルテレスコープの特徴、適応症、設計方法などの説明も非常に理解しやすいものでした。
そしてテレスコープシステムにおいて、テレスコープの選択と同じくらい重要なのは、パーシャルデンチャーの基本的な設計であると岩田光司先生はお話しされていました。
レストや大連結子などの静力学的設計を考慮しながら、テレスコープも設計することで、より良い予後を得ることができるとのことでした。
このような知識はテレスコープシステムのみではなく、パーシャルデンチャーを設計する際にも役立つものになったのではないでしょうか。
今回は、各種テレスコープシステムについて講義形式で講演いたしました。
東京でのIPSG本コースでは、毎年1月~2月にかけて、テレスコープシステムの講義と実習を行っています。
各種テレスコープシステムの設計実習や、制作デモなどもありますので、より理解が深められる内容となっています。
ぜひ、皆様とIPSG本コースでお会いできることを心より楽しみにしています。
今回お集まり頂きました先生方、本当にありがとうございました。
レポート/歯科医師 小西浩介先生
受講された先生方のご感想
▼オクルーザルトレー、アルタードキャストの重要性、正しい方法がよく分かりました。
▼テレスコープシステムについて多くの事を知れてとても有意義でした。
また休憩時間に岩田先生に顎関節脱臼クローズドロックの対応の動画を見させて頂き今まで外科で経験してきたものと大きく異なっており、非常に驚きました。
今後そのような患者さんが訪れた時は教えて頂いた方法に挑戦してみたいと思います。
▼まだまだわからないことが多く、知識を得ようと思ってました。
自分の臨床の幅を広めるためにも取り入れたいと思います。
▼今日は本当に勉強になり有意義な時間でした。
1年間東京での研修会では私が勉強不足のためなかなか理解できなかったのですが、今日一日の研修会で整理ができ、理解を深めることができました。
▼インプラントも必要な時はくるかもしれませんが、テレスコープの必要性が求められている時はこれからくると思いました。