Seminar reportセミナーレポート
’14 10/12,13 咬合診断アドバンス実習コース(前半)が開催されました
こんにちは。 稲葉由里子です。
今回の咬合診断アドバンス実習コースのレポートは歯科技工士の中沢勇太先生からお送りします。
≪前半≫10月12日,13日 咬合診断アドバンス実習コース
レポート:歯科技工士 中沢勇太先生
10月12日(日曜日) IPSGセミナー室にて「咬合診断アドバンス実習コース」が開催されました。
週末は台風が関東地方にやってくる危険性がある中、全国から9名の勉強熱心な先生方が参加されました。
午前中、咬合の基礎的知識について稲葉繁先生の講義がありました。
すべての治療は咬合器に装着するところから始まりますが、ただつけただけでは意味がありません。
フェイスボウトランスファーを行い、体のアライメントを咬合器に写し取り、さらに神経筋機構を正しく理解し咬合器をハンドリングすることで、初めて口腔機能を再現することができます。そのために必要な知識を講義していただきました。
中心位と中心咬合位の違いは関節の位置にあります。
中心咬合位は歯牙が最大面積で接触し下顎が最も安定した位置であることに対し、中心位は顎関節が関節円盤に乗った状態で最も安定した位置にあるということです。
この状態であれば口腔周囲筋や神経に無理なく安定させることができます。よって咬合治療の目的として、この中心位と中心咬合位を目指していくことになります。
中心位がどのようなものなのか、解剖写真を用いて説明していただき技工士の私でも深い知識を得ることができました。
また、下顎運動時の間節内部の動きを決定する要素として歯牙による誘導があります。
適切なアンテリアガイダンスや咬頭傾斜を与えることで無理のない下顎運動をすることができます。
逆に平衡側に早期接触があると、顆頭が下方に下がってしまい結果として間節円盤が前方転移してしまう可能性があるそうです。
そういった事を診断するうえでも正しい中心位で咬合器付着をし、診査診断をすることが重要であると分かりました。
また技工サイドとしても義歯排列時にはそういった事を考えながら行わなければならないと思いました。
午後に入ってからはカボプロターエボ7咬合器を用いた咬合診断の手順の説明や、フェイスボウトランスファーの取り方等、詳しく講義をされた後患者様を用いた臨床実習が始まりました。
今回の被験者はIPSGの現会長でもあります飯塚能成先生です。
主訴としては矯正治療で歯列矯正をしたところ、咬合のバランスが取れていないようで、肩こりや腰痛、股間節痛などの全身疾患が発生したとのことで、今回咬合診断、調整を行い改善を図るということです。
このコースは2週間にわたり行われ、次の週に実際に咬合調整後の患者様の改善を見ることができるのでとても説得力があります。
なかでも中心位の取り方のデモンストレーションはとても分かりやすく、すぐに診療に生かすことができる内容となっており、先生方もとても有意義な時間を過ごせたのではないでしょうか。
アルギン酸印象による印象採得も稲葉先生の取り方を実際に見ることができ、振動の与え方や印象を外すときのテクニック、模型製作のポイントを細やかに知ることができました。
その後、参加された先生方が3チームに分かれ、実際に印象を採りあう相互実習がありました。
皆さんポイントを踏まえての印象ですので、綺麗にとれていました。
模型の製作も実際に行っていただき、咬合診断時咬合器につけやすい模型製作のポイントをしっかりと学ぶことができました。
やはり超硬石膏でしっかりとした厚みをもった規格模型を用いることが正確な咬合診断を行う秘訣なのだなと感じました。
二日目も引き続き相互実習です。
中心位、側方のチェックバイト、フェイスボウトランスファーを実際に行いました。
中心位の採得は稲葉先生やIPSGスタッフの先生方のサポートもあり、みなさん大きな狂いもなく咬合器に付着することができました。
中心位を採る際に重要なことは、前述のとおり間節を正しい位置に収めて閉口させることです。
その後はいよいよ飯塚先生の咬合調整が始まりました。
まず咬合器に装着した模型上で早期接触のある個所、問題のある補綴物をチェックします。
ミルテックスの咬合紙は両面印記型で上下違う色が印記されます。
印記後再度噛ませることで、かみ合ったところにお互いの違う色が付きます。
この咬合紙を用いることで0μの咬合チェックが可能になります。
咬合診断の際にはこの咬合紙を使うようにすると正確に行えるということです。
今回の症例では、口腔内にあるインレーやクラウンなどの補綴物が大きく接触していて中心位で前歯部が噛みあわず、中心咬合位と大きくずれがあったことで、全身の不具合が発生しているようでした。
咬合調整で早期接触を削除し中心位と中心咬合位の一致を目指しました。
顎関節症になってしまう理由の一つとして、咬合について考えのない補綴物の存在があるということで、補綴物製作時、側方運動時の早期接触についてはきちんと取り除いておかなければいけないと思いました。
後半は、参加された先生方の模型を用いた咬合調整実習です。
飯塚先生にどのような変化がみられるか、とても楽しみです。
レポート:歯科技工士 中沢勇太先生
▼レポート後半はこちら
https://ipsg.ne.jp/kougoadv20141012-report2/
咬合認定医コース開催のご案内
IPSGでは、歯の治療だけに注目せず、歯科医師が担っている「恒常性の維持」の1つである食物摂取系を支える歯科医療を目指しています。
そこでこの度、IPSGが強みとしている「咬合」に特化し、将来の包括的な歯科医師の輩出を目標に、咬合認定医コースを開始することとなりました。
ぜひこの機会に「咬合」を学んで頂いてはいかがでしょうか?
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