Questions歯科治療に関するQ&A
Q:Immediate side shift、Progressive side shiftについて教えてください
たとえば、顎を後ろに引き、口を開けると途中で開かなくなります。
さらに開けようとすると、下顎は前方に滑走しながら最大開口します。
すなわち、途中までは下顎頭は回転のみを行います。その量は約2.5センチです。
さらに、口を開けると下顎頭は滑走を行い、平均4センチ程度開口します。側方運動では作業側では回転を行い、平衡側では滑走を行います。
これを詳細に観察すると作業側では純粋な回転ではなく、わずかに側方に移動しながら回転します。これを『Laterotrusion』と呼んでいます。
その時、平衡側では前内下方に滑走します。作業側で純粋な回転をした場合には、平衡側では作業側の下顎頭を中心に平衡側では、大きく円を描きます。
しかし、回転しながら側方移動した場合には、下顎頭は作業側に移動しながら前下方に滑走します。
その時の滑走を始める初期の平衡側の顎の横への滑走運動を、サイドシフト『Side shift』と呼びます。
フロリダ大学のLundeen教授は50人の下顎頭の動きを、両側で100症例の側方運動を調査した有名な報告があります。
作業側の動きにより平衡側の滑走の性質が変化します。
それも下顎頭が動き始めてから5ミリの変化でSide shiftが変わります。
動き始めと同時にSide shiftするのが『Immediate side shift』ISSと呼んでいます。
動き始めの5ミリを通り過ぎると、動きの性質はほとんど変わらず、矢状面に対して変化なく平均5度から10度で『Progressive side shift』は7度程度であると言われています。
したがって、動き始めの5ミリは『Immediate side shift』に影響され、その後の『Progressive side shift』は約7度であると考えておけば良いでしょう。
しかし、しばしば側方顆路が30度にもなるケースもありますが、その時には側方顆路を10度与え、残りをISSで処理すればよいと思われます。
これらの矢状顆路角や側方顆路角は咬合面の形態、すなわち咬頭の高さや窩深さに影響を与える要素であるので、注意が必要です。
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