Seminar report

’23 8/20~21(土,日)『顎関節ライブ実習』が開催されました

’23 8/20~21(土,日)『顎関節ライブ実習』が開催されました

2023年8月20日21日に顎関節Live実習が開催されましたので報告させて頂きます。

毎年全国から歯科医師の先生方に参加して頂き、大変好評のセミナーとなっております。
またIPSG包括医療研究会で開催している『咬合認定医コース』に含まれているセミナーとなって
います。

近年、歯科矯正治療後に顎関節の異常を訴える患者様が多いように感じます。

その大きな原因の一つに咬合の不調和だとIPSG医療研究会では考えています。
『噛み合わせ』は、『神合わせ』と稲葉先生がおっしゃるように、自然の摂理のもと緻密に作ら
れています。

一つ一つの歯、その中の咬頭と窩が顎関節を軸にとても上手く機能しています。
顎関節症を咬合からアプローチして治療をしていくLive実習となっていますので、顎関節を考慮した歯科治療の大切さを肌で感じる事ができるセミナーとなっています。
今回の患者様も歯科矯正後、開口障害を訴えていました。

開口量は33mm。

かかりつけの歯科医院では、受験のストレスで顎関節症になってしまったのではないかと言われたそうです。

歯列はとても綺麗に並んでるように思えます。

続いて画像診断を行いました。

唇・頬側からの咬合関係に問題があるようには見えません。

続いて口蓋・舌側から確認して行きます。

左側


右側


画像上では、右側上顎臼歯の機能咬頭の噛み込みが弱いように見えます。

ただこの画像は患者様に噛んでもらった中心咬合位ですし、顎運動させたときに顎関節がどのように機能し、咬合接触をしているか調べる必要があります。

ここから上下印象採得・フェースボウ採得・咬合採得を行い、咬合器に付着し、模型診断を行いました。


咬合採得は、中心位に誘導し、ワックスとユージノールペーストを使い、正確に記録します。


模型診断を行う上で、咬合器もとても重要です。

KaVo proter咬合器は、人体に類似した大きさであり、顆頭と関節窩との関係を再現する事ができ
る為、梃子現象を調べる事ができます。


続いてARCUS Digma IIを用いた顎機能検査を行ないます。

この検査を行うことで顎関節の動きを可視化でき、状態の理解を深める事ができ、患者説明にとても有用な検査となります。

治療前の検査結果です。


両側の顎関節が回転運動しかしていない事がわかります。
それに伴い開口量は33mmとなっています。

IPSG包括医療研究会では、EPAテストを用いて中心位と中心咬合位の差位を調べています。


この検査でから、中心咬合位の時に両側の顆頭が前上方にずれ込んでいる事がわかります。

次にマニピュレーションを行い関節円板を復位させ、咬合調整によって中心位と中心咬合位を一致させていきます。

治療終了後、顎機能検査を行い症状が改善されたかどうかの確認を行います。

まずは、EPAテストを行い顆頭の位置を確認します。

中心位と中心咬合位における顆頭の位置の差位はほとんどなくなりました。


次に機能検査を行います。
両側の顆頭が回転運動だけでなく、滑走運動している事がわかります。


また開口量も39.3mmと術前と比較して6mm開口量が増す結果となりました。

患者様は、
・口の中が広くなった感じする。
・口が大きく開くようになった。
・顎が動かしやすくなった。
・肩や首の痛みがなくなった。
などの感想を頂きました。

最後にIPSG包括医療研究会 副会長 岩田光司先生に本セミナーの総括をして頂き、終了となりました。

毎年全く違う症状の患者様が来られる顎関節症Live実習ですが、2日間の実習が終わった後は、どの患者様も笑顔になって帰宅されています。

『顎関節』を知るということは、『咬合』を知ることだと思います。
本セミナーで歯科医師として大切なことを実際の治療を見ながら学ぶ事ができる、とても貴重な時間だと日々感じています。

IPSG包括医療研究会では、これからも『咬合』を軸とした、「顎関節」「テレスコープ義歯」「総義歯」「筋機能療法」のセミナーを随時開催していきます。

より良い治療を行うために、皆様と知識や技術を共有し、共に学び続けていきたいと考えておりますので、セミナーのご参加お待ちしております。

最後までご愛読ありがとうございました。

稲葉歯科医院 歯科医師 林聡一

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