Seminar reportセミナーレポート
’12 9/9『咬合治療の臨床』開催されました
こんにちは。 IPSG事務局、稲葉由里子です。 9月9日に東京国際フォーラムにて、エクセレントデンティストコースの第1回、『咬合治療の臨床』 が開催されましたので、ご報告させていただきます。
全国各地から沢山の先生方にお集まりいただきました。 今回、稲葉先生が大学3年生に教えていたという「咬合調整法」の資料を先生方にお渡しさせていただきました。 もし、今でも、この講義を大学3年生で勉強できたのなら、歯科の仕事に本当に興味を持つことができ、回り道せずに学ぶことができるのではないかなと思いました。 そこに書かれている大学3年生のテキストの内容は、 ◆バーチカル・ディメンションを大きく与えないこと ◆相隣接する辺縁隆線は同じ高さにする ◆咬合面側または切縁側の歯間鼓形空隙の確保 ◆咬合面の頬舌径を縮小する ◆頬側・舌側頂 ラインをそろえる ◆中心窩・中心溝のラインをそろえる ◆個々の歯牙の咬頭・隆線・窩・溝などの解剖学的形態を付与する などが図解入りで説明されています。 これをもっと早く知っていれば・・・・((+_+))←私 稲葉先生は大学3年生の授業が一番楽しかったといいます。 「何も予備知識がないから、すーっと 頭に入っちゃうんだよね。」 とのことです。 やはり学生の時から良い情報で頭を満たすことによって、本物の知識を身に付けることができます。 IPSGでも、学生から一緒に勉強できるようなシステムを作る予定なので、少しお待ちくださいね(^_-)-☆
斜走隆線の重要性についても説明がありました。 上顎の斜走隆線は、下顎が後方にいかないようにストップさせる働きと、左右に動く時に誘導させる働きがあります。 スチュワートグルーブと平行している隆線ですね☆ なんて・・・・ でも、だから一体何なのでしょうか。 スチュワートグルーブなんて久々に聞きました。 「スチュワートグルーブって何でしょうか?」 私はすっかり記憶の外だった(-_-;)ので、 稲葉先生に聞いてみました。
スチュアートグルーブは上顎第一大臼歯の咬合面に作られる溝です。(上の写真でいうと緑色の線です) 天然の歯は素晴らしい機能を持っていますが、スチュワートグルーブはありません。 上顎第一大臼歯の中心窩から平衡側へ抜ける、最も大きな咬頭である舌側近心咬頭の内斜面がたびたび、ファセットでピカピカ光っているのをみたことがあるかと思います。 それは、対合歯の下顎第一大臼歯の遠心頬側咬頭の内斜面との間で平衡側の干渉を起こしているためなのです。 そこでワックスアップの際、最初から干渉が出ないように斜走隆線に沿って中央窩から咬頭頂に向かって溝を形成し、咬頭頂が通り抜け易いようにしたのがスチュワートグルーブです。 そして、斜走隆線(オブリーグリッジ)は、上顎の第臼歯の咬合面に存在する頬側遠心から舌側近心に斜めにまたがる大きな隆線です。 (上の写真で緑色のスチュワートグルーブと平行に走っている水色の隆線です。)←マジックで書いてみました^_^ この歯は乳歯列から永久歯列に成長する時、最初に萠出する大切な歯で下顎の第1臼歯と噛み合い歯列の要になる6才臼歯と言われる歯です。 上顎の咬合面の中心窩に下顎の遠心頬側咬頭がしっかりと噛み合うことで、中心咬合位を作ります。 そしてこの斜走隆線がある事により下顎を後方向に押し込まないようストッパーの役割をしています。 更にこの斜送隆線は機能的にも大きな意味を持っています。 下顎運動は回転と滑走があることをいつもお伝えしていますが、作業側は回転し平衡則は滑走します。 即ち、作業側は頬側に回転し、平衡則は斜めに舌側に向かいます。斜走隆線がこの運動を誘導するのです。 この様な理由で斜送隆線は大変大切な隆線ですが、この部をインレーを形成する際、予防拡大と称し削除し、形態を無意識に変えてしまう事は大変問題です。 たとえインレーといえども咬合器に付けて精密に作って頂きたいと思います。
なるほど、よくわかりました(^_-)-☆
さてさて、こちらは、なんと。
稲葉先生がチャールス・ E・ スチュワート先生の講義の資料です。
左側の図はイコライザー、クロージャー・ストッパー、右側の図はABCコンタクトに関してのものです。
以下、稲葉先生の解説です☆♪
これらの単語は臼歯の咬合面の調整の際に重要な知識です。
咬合力を歯軸に伝えることは歯を長持ちさせる為に重要な事です。
逆に言いますと、臼歯は側方力を避けなければなりません。
咬合面は山あり谷ありの大変複雑に出来ていますが、その形態は8つの要素で形成されています。
即ち 1 咬頭頂 2 辺縁隆線 3 外形隆線 4 三角隆線 5 発育溝 6 副溝 7 副隆線 8 窩 から成っています。
歯は咬合面を観察して見ると平らな所はありませんので、上下の歯の接触は大変不安定になります。
ナソロジーの始阻チャールス E スチュアートはこの咬合面の接触形態を安定させる為にイコライザーとクロージャーストッパーが必要である事を主張しています。
臼歯の接触状態を前頭断で見ると、いわゆるABCコンタクトが有ります。
即ちAコンタクトは上顎の頬側咬頭内斜面と下顎の頬側咬頭の外斜面の接触です。
Bコンタクトは上顎の舌側咬頭の内斜面と下顎の頬側内斜面が作る接触です。
Cコンタクトは上顎の舌側咬頭の外斜面と下顎の舌側咬頭の内斜面の接触です。
ABCコンタクトは歯を安定させる為に必要な接触状態を作ります。
この時Bコンタクトが最も大切な接触です。
もしBコンタクトが無ければ歯は頬舌側方向に移動してしまいます。
Bコンタクトをイコライザーと呼び歯の移動を防止する接触を作りますので、上顎の舌側内斜面と下顎の頬側内斜面の接触は無くてはならない接触です。
同様に近遠心方向からみた時にも安定をしなければなりません。
同じ方向の斜面同士の接触では歯は移動してしまいますので、逆の方向の斜面の接触を作ります。
即ち移動する力を打ち消すコンタクトをイコライザーと呼びます。
クロジャーストッパーとは上下の歯を接触させると辺縁同士の接触に2箇所の接触が出来ます。
たとえば2つの輪ゴムを少しずらして重ねると、2箇所の交点が生まれます。
これと同じことが上下の歯の辺縁隆盛同士に生まれます。これは中心咬合位を作る接触であり、下顎が頭蓋に最も近づいて、咬頭と窩、隆線と溝が最大面積で接触する位置を取ります。
そのような意味を持つのがクロジャーストッパーという事になります。
咬合面は一つ一つに大切な意味を持っているのです。
ということです。
質問です。
「イコライザーがないと、歯はどうなってしまうのでしょうか?」
・・・・・
歯ぎしりとかしちゃうのかな?
と思った私。
ブーでした^_^;
イコライザーいわゆるBコンタクトがないと、上下の歯は傾斜してしまうそうです。
Bコンタクトをつけることで歯軸に力が入ります。
これはとても大切なことだと思いました。
患者様にも、今度こんな風に説明をしてみようと大変勉強になりました。
ちなみにABコンタクト、BCコンタクトは大丈夫だそうです(^_-)-☆
小臼歯などはABコンタクトが多いようですね。
中心咬合位を作るのがクロージャーストッパーも大事だということがわかりました。
スチュワート先生のテキストは、素晴らしい事が沢山書かれています。
Closure Stoppers
Any contact of a distal incline of an upper tooth with a mesial incline of a mesial incline of a lower tooth is called a closure stopper.
Equalizer
Any contact of a distal incline of a lower tooth with a mesial incline of an upper tooth is called an equalizer.
~CHALES E.STUART,D.D.S~
ある程度、知識があれば、スチュワート先生のテキストも読めるかもしれません。何より、挿絵だけで、とても価値があると感じます。
次回開催される実習コースでは、このようなことが沢山学べます。
詳細はこちらです。
↓↓↓
https://ipsg.ne.jp/?page_id=36
ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました☆♪