Questions歯科治療に関するQ&A
Q:パラレルテレスコープとは、どのようなテレスコープでしょうか?
修復装置の維持装置として使われるテレスコープシステムには、パラレルテレスコープ、コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープなど各種の物があり、ケースに応じて適材適所に使い、長期に機能する補綴物を製作する事が可能です。
パラレルテレスコープは内冠の周囲に平行な面を形成し、その上に外冠を被せる方法です。
テレスコープシステムが最初に発表されたのは、1886年、Starrによるパラレルテレスコープでした。
パラレルテレスコープは、内冠と外冠が茶筒のように正確に適合させるため、製作方法が難しく外冠が少しでも収縮すると装着ができなくなります。
反対に、外冠が少しでも膨張すると維持力を失ってしまいます。また内冠と外冠は摩擦力で維持されるため、長期間使用するとすり減りが起こり維持力を失ってしまいます。
そのような理由により、全部被覆冠タイプの物はあまり使用されませんでした。
その代わりに、一部被覆冠タイプの物としてチャンネルショルダーピンアタッチメントが使われます。
4/5冠タイプの物で内冠をパラレルにミリングし、近心と遠心にグルーブを形成し、そこに唇側、頬側を残して咬合面と軸壁を被覆した4/5 冠タイプの外冠を製作する物です。
さらに、パラレルテレスコープを使用する物として、レジリエンツテレスコープがあります。これは少数残存歯のケースに使われる物で、粘膜支持のケースに使われる物です。
したがって、総義歯のタイブに内面に外冠を組み込み粘膜負担にします。
すなわち、粘膜の沈み込みの量だけ内冠と外冠の間に隙間を作り、粘膜が沈み込んだ時始めて接触するという物です。この方法は日本ではあまり行われていませんが、少数残存歯のケースに使われる良い方法です。
最近、ドイツで非常に行われるようになった方法として、Co-Cr を使用してCAD/CAM で削り出すテレスコープが行われるようになって来ました。
これもパラレルテレスコープを応用し、さらに内冠に放電加工によりグルーブを形成し、そこに外冠内面に維持ピンを付けて固定する形式のタイプのテレスコープが行われるようになって来ました。やがて日本でも行われるようになると想像されます。