Seminar reportセミナーレポート
’17 3/19(日)『顎関節症の臨床 〜咬合からのアプローチ〜』稲葉繁+IPSG副会長岩田光司コラボセミナー開催されました①
2017年3月19日、IPSGセミナールームにて『顎関節症の臨床~咬合からのアプローチ』が開催されました。
午前と午後に分けてご報告させていただきます。
今回も全国から歯科医師、歯科技工士の先生方にお集まり頂きまして、ありがとうございました。
海外からいらした先生も御参加していただきとてもうれしく思います。
今日、顎関節症と咬合の関係が蔑ろにされている傾向がありますが、実はとても重要であり深い関係があるのです。
それらについてIPSG代表稲葉繁先生並びにIPSG副会長岩田光司先生にお話しして頂きました。
午前中は稲葉繁先生の講義から始まりました。
まずは、顎関節症が生まれた背景や歴史についてお話しされました。
日本で顎関節症が多く発症したのは国民皆保険の導入が理由の一つではないかと考えていらっしゃいました。
保険制度が広く浸透し始めた稲葉先生が若い頃は顎関節症の治療はBlack Boxだったそうです。
しかし臨床ではとても多くのケースがあり顎関節症を学ぶためにドイツのチュービンゲン大学に留学行かれ、顎関節症の権威であるProf.Schlteから直接学ばれました。
咬合を念頭に置いた顎関節症の歴史はコステンシンドロームから始まっています。
この写真は世界初のスプリントです。
稲葉先生がコステンのお弟子さんに頂いた貴重なものです。
コルクを5ミリに切り臼歯に咬ませ咬合を挙上し、梃子の原理を利用し下顎頭を下げて、難聴を改善する当時は画期的なシステムでした。
現在では否定されていますが、下顎頭を下げて治療を行うというものがとても素晴らしいアイディアだとおっしゃっていました。
ナソロジストのスカイラ―などはそれだけでなくアンテリアガイダンスの重要性をみいだし、機能的に咬合について考えました。
さらに咬合をただ単に機械的に捉えるだけでなく生理的咬合の考え方をする術式が考案され、日本人では石原先生など傑出した学者が生まれました。
この様に先人たちによって顎関節症は様々な研究がなされてきた事が伺え、咬合と顎関節症は密接な関係にある事も知る事が出来ました。
顎関節の位置を定義する中心位の考え方の変遷についてもナソロジストの3巨匠の偉大な功績と共に詳しくお話ししてくださいました。
続いて顎関節症と咬合のかかわりについてお話になりました。
この写真の方は稲葉先生が顎関節症を治療する際に参考にしている人です。
梃子の考え方が重要だとしデナー社からOcclusion Teaching Manualを出版し,稲葉繁先生はその本を贈呈されました。
その梃子について図や物に例えたりし、分かりやすく説明してくださいました。
そして梃子現象が引き起こされる要因の一つが咬合干渉であるとおしゃっていました。
咬合干渉は顎口腔内に様々な影響を与えます。
それは歯ぎしり、顎関節症、手足のしびれなど全身に及ぶます。
顎関節症の治療は咬合診断をしっかり行い、咬合干渉をいかに的確に取り除き、顎関節を正常な位置にもってくかが大切だと仰っていました。
実際顎関節症はどのような状態にあれば正常か異常かを貴重な写真や動画を用いて分かりやすく解説していただきました。
最後に診査診断治療の流れについてお話しいただきました。
このようなフローチャートがあり、これに沿ってどのように治療を進めていくのかをお話しくださいました。
そのほかにもアメリカの咬合学会からみる顎関節症のお話などとても盛りだくさんな講義となりました。
午前はここまでです。
お昼をはさんで岩田光司先生による講義です。
▼レポート②はこちら
https://ipsg.ne.jp/collaboseminar20170319-report2/