Seminar reportセミナーレポート
パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース開催されました
こんにちは。IPSG事務局、稲葉由里子です。
2013年2月10、11日『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース』がKaVo Dental Systems Japanで開催されましたので、ご報告させていただきます。
第一日 テレスコープシステムの概要、コーヌステレスコープの製作デモ
第二日 リーゲルテレスコープの製作デモ、レジリエンツテレスコープの製作デモ、パーシャルデンチャーの設計実習、症例検討会
というスケジュールで、進行させていただきました。
※セミナーに参加できなかった先生方に向けて、IPSGでは、パーシャルデンチャーを学べるDVDを販売しております。レジリエンツテレスコープ、リーゲルテレスコープ、コーヌスクラウンなど、技工士を招いたデモンストレーションも収録されております。
※動画で収録内容の一部を公開しておりますのでご覧くださいませ。
▼DVD「パーシャルデンチャーの設計と製作実習コース」
https://ipsg.ne.jp/dvd-buy/#vol3
まずは、最初に。
IPSGの新しいスタッフとして、技工士の中沢勇太君が加わりました。
というわけで、ご紹介させていただきました!
彼は先日(株)モリタ歯科技工フォーラム2013の中で、国内外で活躍できるような才能をもつ歯科技工士ということで優秀賞を受賞した、若手のホープです。
これから更に、IPSGでは技工士の先生と連携を強化して、お互いを高めあっていきたいと思っていますが、中沢君にはそのお手伝いをしていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
日本では、正しいパーシャルデンチャーの設計を、技工士もドクターも教わっていません。
かなり適当な状態でやっているのが現状です。
設計は技工士にお任せするドクターもいますが、技工士だって正しい設計は教わっていないのです。
ドイツでは設計は歯科医師がするものです。
なぜなら、患者様の希望、悩み、スタディーモデルの状態、動揺度、レントゲンの情報を知っているのは歯科医師自身だからです。
最初に先生方お一人お一人に、欠損症例の模型をお渡しし、真っ白な頭の状態で設計をしていただきました。
セミナーを受けていただいた後、どのように設計が変化をするのか見比べるためです。
「患者様はアラブ王様。1本抜けたら射殺される・・・でも上手くいったら、油田をひとつあげる。いつも、それぐらい真剣に設計するように(笑)」←稲葉先生
今回は、コーヌスクローネの正しい設計方法、製作方法をお伝えしたいと思います。
この本は、Karlheinz Körber教授のKonuskronen、コーヌスクローネの原書です。
もちろんドイツ語なのですが、稲葉先生がボロボロになるまで読んだコーヌスの教科書です。
一次固定、二次固定、コーヌスクローネの設計、製作法、適応症、禁忌症、コーヌス角についてやネガティブビンケルの解決法など、沢山の事がこの一冊に書かれています。
コーヌスクローネは、沢山のルールや製作法があってはじめて成功するものであって、適当な方法、自己流で製作するものではありません。
テレスコープの本場ドイツで、直接学び、そして自らがその指導者として教えてきた稲葉先生ではないと伝えられない情報が盛りだくさんでした^_^
そして、今回講師として、技工のサポートをしていただいたのは、Dental Labo Intec代表、高木清孝先生です。
高木先生は、23年間、稲葉先生の技工を任されている大ベテランです^_^
テレスコープの症例数も2.000症例を超えます。
私も彼がいてくれることで、安心して患者様の歯を任すことができます。
まさに、ドクターとテクニシャンは、大事なパートナーだと思います。
初日は、コーヌスクローネのデモです。
リーゲルテレスコープとコーヌスクローネの使い分けは、
一次固定をするのがいいか。
二次固定をするのがいいか。
ということだと思います。
コーヌスクローネでないと対応できない症例も沢山あるので、ぜひ覚えていただきたいと思います。
こちらは、以前KaVo EWLから販売されていた、ミリングマシーンです。
コーヌスクローネは器械研磨をしなければなりません。
適当に手で研磨をすると、精度を発揮できません。
稲葉先生が発案、開発した、KaVoの横型研磨器と、手前はコナトアー。
コナトアーを使うとコーヌスクローネの精度が高まります。
ドイツでは、コーヌスシュリッテン、コーヌスウーアなどの名前で、コーヌスクローネ製作時には必ず使用しています。
これらの道具を使用することで、クオリティーの高いものができます。
前歯と臼歯で平行性が認められない時、コナトアでマージン部の金属部分が露出しないように調整します。
ネガティブビンケルが前歯にでないようにするということです。
このように、模型台の上で補綴物の装着方向を決定、コナトアに模型をのせて6度の範囲で調節して最適な内冠の方向を決定することは、コーヌスクローネの生命線となります。
パーシャルデンチャーの基本的な設計について。
リーゲルテレスコープのシュレーダゲシーベの役割について。
そして、これは稲葉先生が開発したコニマウントです。
コーヌスクローネ製作時に使うコナトアと同じ機能をもつのですが、発案は同時期だったそうです。
当時、田中歯科器械店で、TDKK(東京ドッペルクローネ研究会)により販売されていましたが、今はもう手に入りません。
VISIODENTという会社のパーシャルデンチャーの設計を勉強する教育教材です。
ZLというアタッチメントを使う際にどういう使い方があるかというもので、非常に優れています。
それぞれのケネディーの欠損症例において、どのような設計をしたらよいかがわかります。
シュパルテや、トーションバーの設計についても詳しく解説がありました。
こちらはリーゲルテレスコープのアニメーションです。
患者様にリーゲルテレスコープを説明するのに最適なツールです。
『リーゲルテレスコープアニメーションDVD』
『予防補綴に最適なテレスコープシステムの臨床』
『石原明先生の解説DVD』
が、セットになっています。
今回も2日間があっという間に過ぎ、先生方と楽しく勉強をすることができました。
初日の懇親会の模様です^_^
今回も、ちょっと素敵なレストランで開催されました!
素敵!
美味しかったです~
同級生の岡村先生と、私、そして、次回ドイツのIDSにご参加いただく石川先生です。
懇親会の間も、稲葉先生への質問は絶えませんでした。
先生方、とても楽しそうに稲葉先生の話を聞いてらっしゃいました!
今回受講して下さった先生方からの感想を一部ご紹介させていただきます。
◆咬合を学びたくてIPSGにきましたが、義歯がこんなに面白いとは初めて気付きました。日本の教育では本当に全く教えていないことにも驚きました。
◆シュパルテの話はすごいと思いました。早く活用してみたいと思います。
◆テレスコープシステムを現実化するには、いろいろなハードルがあると思います。一番はテクニシャンの問題。過去に稲葉教授の直伝を受けた名古屋の技工士のグループに聞きながらケースをしたことがありますが、設計の段階で誤っていることがよくわかりました。今、そのテクニシャンがコーヌスをやっているかどうかわかりません。本日同席していた技工士さんが、ある程度経験のある技工士さんなら、今までの技術で理屈を理解できれば対応可能と言われていました。ただ、器械がないのが問題とのことです。
◆一昨年に続いて2回目の受講ですが、新しい知識が増えて勉強になりました。リーゲルレバーの機構とか良く解らなかったのが解ったです。
◆製作は難しいと印象を持ちましたが、小さなケースから製作してみたいと思いました。有難うございました。何とかして横型研磨機を手に入れたい。
◆非常によくわかりました。臨床の幅が広がりました。ありがとうございました。
◆リーゲルの技巧を初めて見れてうれしかったです。
◆実際に技工を見ることで、改めてテレスコープの技術の高さがよくわかりました。診療の各ステップでの注意すべき点もわかりました。今日はどうもありがとうございました
◆今回再受講です。何回も聞くと大変よく理解できました。ありがとうございました。
◆バー形についてよくわかりました。レジリエンツは特によく理解できました。
◆結局、咬合の安定化(長期)を思うと、テレスコープデンチャーを選択するのが最善であると認識しています。その中でもリ、ーゲル・コーヌス・レジリエンツの適応をよく理解し、臨床に取り入れていくことが患者さんの為になると思いました。
◆最近患者さんとお話する時、日本の入れ歯とドイツの入れ歯という言い方をし、保険とか自費とかどいう観点ではなく義歯の起こす問題を話すようにしています。但しその中でもコーヌスデンチャーに移行するケースはまだまだです。パーシャルデンチャー(日本式)でも今までテクニシャンに任せている設計を少しでも負担がかからないようなものにするにはどうしたらよいかを勉強したいと思いました。
ということで、全国各地から、沢山の先生方にお集まりいただきまして、本当にありがとうございました。
私も皆様と一緒に勉強させていただき、さらに知識の幅が広がりました。
これからも、IPSGの先生方にできる限りお伝えしていきたいと思います!