Seminar report

’21 8/21,22(土,日)『顎関節症ライブ実習コース』開催されました①

2021年8月21・22日と2日間にわたり顎関節LIVE実習が開催されましたので報告させて頂きます。

毎年全国から歯科医師の先生方に参加して頂き、大変好評のセミナーとなっております。

またIPSG包括医療研究会で開催している『咬合認定医コース』に含まれているセミナーとなっています。

近年、顎関節症治療はTCHなどの考えからスプリント治療が主流となっていますが原因の除去には至りません。

本セミナーでは、咬合からのアプローチで顎関節症の治療を行ないます。

まずはIPSG包括医療研究会代表 稲葉繁先生に咬合や顎関節をどのように学んでこられ、この考えに至ったかを講義して頂きました。

稲葉先生は世界的にも著名な先生方の一次情報を学んでこられました。

そのような貴重な知識・経験を学ぶことができるセミナーとなっています。

今回の患者様は、40年間顎関節症で悩まれている患者様でした。

もちろん稲葉先生をはじめIPSGのスタッフもどのような状態になっているか知らないので、問診から始まります。

まさにLIVE実習という緊張感があり、受講先生の先生方も実際自分ならどのように治療を行なっていくか照らし合わせながらセミナーを体験して頂けると思います。

最近は痛みが強くなり、強く噛むことができなくなってしまったとのこと。

すぐにユニットに座らせるわけではなく、姿勢の確認を行います。

咬合の不調和は全身に影響を及ぼします。

姿勢の確認・筋触診・顔貌の確認をし、全身のバランスを診る事は、とても重要な診査項目であります。

次に画像診断を行います。

今回あらかじめMRI・CTの撮影を行なって頂きましたので、その診断方法をIPSG包括医療研究会副会長 岩田光司先生に講義して頂きました。

現在岩田先生は日本大学松戸歯学部放射線科で専科生として多方面から顎関節について学ばれております。

MRIとCTの画像診断を行う事で、軟組織と硬組織の状態が把握でき、より細密な診断を行うことができます。

こちらがCT画像です。

下顎頭の形態や下顎頭と関節窩の位置関係を観察します。

続いてMRI画像です。

右側顎関節は、復位性間接円板前方転位。
左側顎関節は、復位性関節円板前外方転位。
と診断されました。

また左右ともに上下関節腔にJoint effusionが認められましたが、特に左側上下関節腔に著明Jointeffusionが認められます。

正常画像を用いながら、MRI画像診断のポイントを講義していただきました。

続いて口腔内の診査を行います。

不良補綴物の有無や舌の圧痕などの確認をします。

また顎運動を行い、開口量や前方運動・側方運動・開閉口運動を行い、どのように機能しているか確認します。

初診時の開口量は22mm、開口時に変位は見られませんでしたが、側方運動はほぼできない状態でした。

次に模型診断を行う準備を行います。

しかし現在の開口量では印象採得を行うことができないことや中心位での咬合採得が行えないため、稲葉先生が考案されたマニピュレーションを行い、関節円板を復位させます。

この方法は、術者が無理やり誘導するのではなく、患者自身の顎運動で関節円板を復位させる方法であります。

患者様に負担が少なく、様々な転移に応用できるとても理に適った手法です。

マニピュレーション後は、開口量35mmとなりました。

開口量が改善されることで、印象採得を行うことができます。

印象採得では、上下顎共にリムロックトレーを用います。

続いてフェースボウの採得、中心位と思われるところでの咬合採得を行いました。

フェースボウ採得時は、顔貌だけを診るのではなく、全身のアライメントを定めて採得を行います。

この印象採得・フェースボウ採得・中心位での咬合採得などの行程は、全ての患者様に行う基準を作る作業となります。

IPSG咬合認定医コースで1年間をかけて、このような手技の相互実習やDigmaを用いた顎機能検査実習、咬合に関わる知識などを学んでいただくコースとなっておりますので、ご興味ある方はいつでもご連絡お待ちしております。
これらの資料をもとに咬合器に模型を付着してところで、1日目は終了となりました。

2日目は、模型診断、Digmaを用いた顎機能検査や咬合調整による顎関節症治療など内容の濃いものとなりましたので、その様子も改めてレポートさせて頂きます。

最後までご愛読ありがとうございました。
稲葉歯科医院 歯科医師 林聡一

▼レポート②はこちら
https://ipsg.ne.jp/tmd-live-seminar-2021-report2/

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