Seminar reportセミナーレポート
’14 1/13(月・祝)テレスコープシステムの臨床~ドイツ最先端義歯テレスコープシステムの基礎を学ぶ~開催されました【前半】
こんにちは。IPSG事務局稲葉由里子です。
1月13日の研修は前半稲葉繁先生の講義部分レポートを佐藤孝仁先生からお送りします
※後半、林昌二先生レポートは単独特集で稲葉由里子がお送りしています。
=====================================
講義が始まる前に、稲葉智弘先生から2013年10月に出版されたドイツの歯科技工雑誌「dental labor」の紹介がありました。
この雑誌でも、コーヌステレスコープの症例やインプラントとテレスコープの融合した義歯などが掲載されており、今でも通常の診療の中で行われております。
受講されていた先生方は、コーヌステレスコープは決して日本で言われているようなロストテクニックではないとご理解されたと思います。
ドイツの歯科技工雑誌
コーヌステレスコープの症例
インプラントとコーヌステレスコープの症例
まず、テレスコープシステムの歴史からですが、その歴史は古く1886年ですでに120年以上あります。
この歴史の中で、改良・改善を繰り返して今の技術となり、最近ではインプラントと融合することによりさらなる進化をしようとしています。
それが義歯の今の最先端であるということは先ほどの雑誌でもお見せした通り明らかであります。
そういったテレスコープシステムですが、みなさんが知っているコーヌステレスコープ以外にも様々な種類がありまして、それを使い分けることにより一歯欠損から一歯残存まで幅広く対応できるようになっております。
稲葉繁先生には1つ1つの説明を詳しくしていただきましたが、初めて聞いた先生方はとても驚かれたと思います。
その中で、コーヌステレスコープのコーヌス角6度とくさび効果を知るために、紙コップ2つを使って説明していただき、外せないくらいくっついている様子です。
テレスコープシステムの中のコーヌステレスコープの製作手順(チェアサイドでの手順、技工手順)を知ることにより他の種類の義歯も作成できるようになるため、それを基準に具体的に説明いただきました。
その手順は今まで日本で行われていた言わば日本式コーヌステレスコープとは全く異なります。
ドイツで行われている正統派コーヌステレスコープの手順をきちんと行わないと精度が悪くなってしまいます。
技工手順の異なる点を一つお伝えしますが、コーヌステレスコープの内冠研磨には機械研磨を致します。
日本式コーヌステレスコープは手研磨を致しますが、それでは精度が悪くなってきてしまい予後もかなり悪くなってしまいます。
そして、機械研磨には稲葉繁先生とKAVO社が作製した横磨き研磨機での研磨が必要です。
これを行うことにより内冠の側面が滑沢になり精度が格段に上がります。
稲葉繁先生はコーヌスクローネにはこの作業が“コーヌスクローネの生命”というほど大切だとおっしゃっておりました。
KAVO社 横磨き研磨機
機械研磨の様子
一通りの作製手順を学んでいただいた後、再びテレスコープシステムの設計についてご説明いただきましたが、やはり長く患者様に使用して頂く義歯治療をする際は設計がかなり大切になりますので、昨日に引き続きおさらいです。
何度もお伝えしますが、上顎で3点支持の際は大連結子の設計はとても重要で、特にシュパルテとトーションバーはかなり有効です。
これは是非受講された先生方はご自身の臨床に取り入れていただければと思います。
お昼休みをし、それでは午後の研修です。
開始早々、衝撃的なスライドを出して説明して頂きましたが、ドイツではすでに1967年にクラスプデンチャーをしなくなったそうです。
日本ではどうでしょう、むしろクラスプデンチャーが主流になってしまっています。
このような事実を知ると、本当にドイツの医療の質の高さがよくわかります。
また、テレスコープシステムで最も知られているのはコーヌステレスコープですが、リーゲルテレスコープという義歯も稲葉歯科医院はじめIPSGの先生方は多用いたします。
コーヌステレスコープでは適応できない4歯以上の症例は、リーゲルテレスコープで対応致します。稲葉繁先生も臨床の中で数多く使われております。
話は変わります。
コーヌステレスコープを学んだ事がある先生ならご存知だと思いますが、稲葉先生はコーヌステレスコープで有名なケルバー教授とも親しくされており、いろいろとケルバー教授主催のバス旅行や個人的なお付き合いもしていたそうです。
その当時のお写真です。
テレスコープシステムの歴史や説明、症例をご説明させていただきましたので、今度はいよいよ実際にどのように治療していくかといった説明をされていました。
初めて聞いた先生方は一回だけ聞いただけだと、理解するのがなかなか難しいかとは思いますが何回か参加した先生方ならより理解が深まる内容であったと思います。
このように、IPSGではこの研修一回だけでなくテレスコープシステムの義歯が出来るためにいくつかの研修を組んでいます。
1年間の研修をすべて受けて頂くと、IPSGが認定した技工所にテレスコープシステムの義歯がだせるようになり、院内でテレスコープシステムの義歯を出来るシステムになっています。
レポートでは全て語りつくせないことばかりですので、皆さんも是非、一度IPSGで研修を受けてみては如何でしょうか。
(レポート:稲葉歯科医院 佐藤孝仁先生)