Seminar report

2012『総義歯の基礎と臨床』開催されました

2012『総義歯の基礎と臨床』開催されました

IPSG事務局、稲葉由里子です。
2012年6月24日『総義歯の基礎と臨床』がKaVo Dental Systems Japanにて開催されましたので、ご報告させていただきます。

2012『総義歯の基礎と臨床』

今回も、全国から沢山の先生方にお集まりいただきました☆

稲葉先生が開発した、『上下顎同時印象法』は、その名の通り、最終印象を上下顎一緒に印象するため、患者様にも負担が少なく、ドクターも精密な作業を集中して行うことができるのが特徴です。

2012年6月24日『総義歯の基礎と臨床』1

具体的には

1回目 スタディーモデルの印象
2回目 精密印象
3回目 試適
4回目 セット

と、患者様に来院していただくのは、スムーズにいけば4回で行うことが可能です。
精密印象では、印象を直接フェイスボーにつけるので狂いようがありません。

咬合高径についても、
上唇小帯と下唇小帯の低い所・・・日本人40ミリ 小さい人で38ミリ
で、だいたい決まります。

ぜひ、この平均値を覚えていただければ、驚くほどその通り使えます。

義歯の安定に関与する外力の図

義歯の安定に関与する外力、この図はとてもわかりやすいのでぜひ覚えていただきたいと思います。

スイスの歯科医師のAlfred Gysi(アルフレッド・ギージー)の歴史

今回、近代総義歯学の基礎を築いた、スイスの歯科医師のAlfred Gysi(アルフレッド・ギージー)の歴史をたどりました。

Gysiはカンペル氏の平面のコンセプトを作ったり、シンプレックス咬合器、トゥルバイト人工歯の開発など、沢山の業績を残しています。

今回、90年前の『ギージーフィルム』(和田精密技研)をご覧いただきました。
印象法からゴシックアーチ、フェイスボー、排列まで、Gysi自身のライブ実習を動画でご覧いただいたのはIPSGでも今回が初めてでした。

Gysiの問診の様子

Gysiの問診の様子です。

口蓋皺癖

口蓋皺癖です。

義歯の床縁は、必ず両側のハーミュラーノッチを結んだ線A-lineまで伸ばすことが大切です。

アーと言ってふるえるところがA-lineですね☆
よくできたアニメーションです。

印象採得

印象採得です。

稲葉先生、閉口印象の必要性についても、話がありました。

『開口印象だと翼突口蓋縫線が持ち上がった印象がとれてしまう。』
『閉口印象だと、A-lineが封鎖する印象がとれる。』

納得です。

印象採得2

これ、おもしろかったです。

印象採得をするときに、こうやって色んな顔をしてね。
と、色んな顔をして見せている動画です。

患者様もかすかに笑ってます^_^

カンペル氏平面と咬合平面を確認

カンペル氏平面と咬合平面を確認しています。

フェイスボートランスファー

そして、フェイスボートランスファー。
Gysiの90年前の動画から学ぶところは非常に大きかったです。

フェイスボートランスファー2

今でも十分通用しますし、その細かな過程は感動的でした。
少なくても、これを超えないとまずいという話になります(-_-;)

シンプレックスの咬合器、フェイスボートランスファーの情報を再現しています。

Gysi自身によるワックスアップの様子 

Gysi自身によるワックスアップの様子です。
パイプたばこを吸いながら、患者様の治療をしている様子もあり、すごい感じでした。

ドイツチュービンゲン大学のDr.Reiner Strackについて

そして、稲葉先生の総義歯の原型となった、ドイツチュービンゲン大学のDr.Reiner Strackについて、詳しく説明がありました☆

Strack

こちらがStrackだそうです。

キリッとしてます。
この技術のパテントを取った資料のコピーは、シュライヒ先生からいただきました。

シュライヒ先生

シュライヒ先生は大の日本好き。
日本での講演の様子です。

稲葉先生は、シュライヒ先生の義歯の外形をみて驚嘆したと言います。

GysiとStrackの排列、理論の違いについて

こちらはシュライヒ先生からいただいたスライドからです。
GysiとStrackの排列、理論の違いについてです。

稲葉先生は、歴史を勉強することで、上下顎同時印象法が生まれたと言っていました。

歴史を学ぶことは非常に大切です。
まさに、温故知新ですね^_^

シュライヒ先生の義歯はフルバランスドオクルージョンで、咬頭がしっかりついています。

リンガライズドオクルージョンがなぜよくないかというと、関節がリンガライズドになってしまうからということです。

顎関節はリモデリングセンターです。
咬頭がないと、顎関節がだめになってしまいますね(>_<)

解剖図

素晴らしい解剖図、わかりやすいです。
口輪筋、頬筋のサポートはこの総義歯のキーになります。

義歯の外形は必ず書くように

義歯の外形は、必ず書くようにしてください。と話がありました。

切歯乳頭の中点から7ミリ外側(唇側)に中切歯唇面、第一横口蓋数壁の末端からCPCラインに向かい9ミリ外側に犬歯の最大豊隆部、CPCライン上に犬歯尖頭。

第一横口蓋数壁末端から2ミリ外側に、犬歯の舌側の歯頸部でしたね☆
ちなみにCPCラインは、ケーナイン パピラー ケーナインです。

模型から沢山の情報を得ることができます。
先生方も、本当に熱心に聞いてくださいました。

最後に、稲葉先生の上下顎同時印象法の動画をみていただき、質疑応答も盛り上がりました。
ご参加いただいた、先生方からの感想を一部お伝えいたします☆

☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。

◆オリジナルのイボカップシステム等、たくさんの資料が見れて大変有意義でした。総義歯の歴史を学び、上下同時印象の優れた点がよくわかりました。本当に素晴らしいアイデアがつまったすごいシステムだと思いました。次回実習がとても楽しみです。今日は有難うございました。

◆世界で唯一最高総義歯を学ぶことができ、とても幸せです。実習コースもとても楽しみです。少なくともギージーの90年前を上回りたいと思いました。

◆上下顎同時印象の一連の流れを大まかに把握することができ、有難うございます。患者さんの通院回数も減り、素晴らしい術式だと思いました。細かいところや詳しいことは、実際に目でみないとわからない部分もあると思うので、実習セミナーを受けたいと思います。

◆久しぶりの受講で忘れていたことも沢山あり、とても勉強になりました。今後の臨床に即取り入れたいと思います。有難うございます。

◆何度教えて頂いても、参考になることが多いです。理解が深まります。

◆90年前のギージーの動画はすごかった。現在の自分の総義歯は90年前の臨床より劣っていた。

◆各コース単回では、完全に理解するのは難しいと感じました。年間の全コースに参加して咬合に対する理解を深めていきます。

◆もう少し、実際の製作のスライド、ビデオを多く拝見したかったです。それはライブで見ないとわからないかもしれませんが。。。スライドの内容をレジュメにリアルに反映させて頂くと後程の復習がしやすいかと思います。

◆稲葉先生の治療は全て反復だと思います。先週木曜日に(6/21)に見学した患者さんが上下同時印象にて咬合採得、ゴシックアーチ、フェイスボーの採得を見学させて頂き、3日後には再度講義を受講しますとより勉強になります。

◆総義歯に必要な知識が、歯科医学の原点だと思います。現在は、まるまる操作を技工士さんに任せてしまって歯科医師がわかっていない場合が多いと思います。本来は一人の患者さんと向かい合い、技工操作を歯科医師が全て手がけて作り上げるという事が大事だと思いました。(可能な限り)次回7月の総義歯製作の実習コースで、更なる知識と実践技術を見てみたいと思います。いい道具もいい指導の元に正しく理解し、身につけなければ単なる道具で終わってしまいます。稲葉先生の講義を聞いてレベルを高めていけたらと思います。

◆和やかな雰囲気の中、有意義の飽きのこないご講義有難うございました。また宜しくお願い致します。“一番印象。。。”→Gysiの90年前の総義歯、稲葉先生がリヒテンシュタインの国王だったこと(笑)

ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。

また、会場を提供してくださったKaVo Dental Systems Japanにも、心よりお礼申し上げます。

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