2022年3月20・21日と2日間に渡り、「ドイツ式パーシャルデンチャーセミナー」が開催されましたので報告させて頂きます。

本セミナーでは、IPSG包括医療研究会の4つの柱の1つである「テレスコープデンチャー」の構造などの基本的なことから、実際にどのように設計を行い臨床応用させていくか。

といったところまで様々な症例を用いて学ぶことができるセミナーとなっております。

またKaVo proter evo 咬合器を用いたハンドリングの時間もあり、様々な角度からテレスコープデンチャーを学んで頂けるセミナーとなっております。

まず初めにIPSG包括医療研究会副会長　嶋倉剛史先生に講義して頂きました。

嶋倉先生はIPSG包括医療研究会代表　稲葉繁先生の講義に感銘を受け、稲葉先生の元で研鑽を積み、多くの患者様に喜ばれているドイツ式パーシャルデンチャー（テレスコープデンチャー）の普及に努められている先生です。

現在の日本の歯科界でテレスコープデンチャーを用いて治療にあたる先生はほとんどいません。

そのような中、なぜIPSGはテレスコープデンチャーを1つの柱として扱っているのか。

どのようなところに良さがあり、患者様に満足して頂けるか。といったところを講義して頂きました。

続いてIPSG包括医療研究会特別講師　小西浩介先生に講義して頂きました。

小西先生は日本顎咬合学会で権威のある矢澤賞を最年少で獲得され、他にも様々な受賞歴があり、現在は執筆活動やセミナーなど臨床以外の分野でも活躍されている先生です。

テレスコープデンチャーには様々な種類があり、その適応症も変わってきます。

またシステム化された診療ステップがありますので、正しい設計と正しい診療手順を踏んで治療していく大切さを教えて頂きました。

続いて私　林聡一が咬合器のハンドリング実習をさせて頂きました。

IPSG包括医療研究会では、KaVo proter evo咬合器を使用しています。

テレスコープデンチャーに限らず、歯科治療において生体構造に類似した咬合器を使用することは、とても大切なことです。

またラボとの連携や模型診断・咬合診断においても、とても重要な役割を果たしています。

以上で1日目は終了となりました。

3月21日　2日目はIPSG包括医療研究会副会長　岩田光司先生の講義から始まりました。

1日目の終わりに受講生の先生方から質問を頂き、その質問に答えながら講義して頂きました。

IPSG包括医療研究会では主にコーヌスクローネ・リーゲルテレスコープ・レジリエンツテレスコープこの3種類のテレスコープデンチャーを利用しています。

それぞれのテレスコープの設計や診療での注意点や勘所など教えて頂きました。

レジリエンツテレスコープは粘膜負担義歯なので、支台歯と顎堤との平行性を考慮にいれる必要があります。

またIPSG包括医療研究会で行われている「上下顎同時印象法」を活用することで、患者様に最適なデンチャーを制作できるとおっしゃっていました。

午後は、IPSG包括医療研究会　代表　稲葉繁先生に講義をして頂きました。

稲葉先生には、このテレスコープデンチャーをすることになったきっかけや歴史、多くの長期症例の数々を見せて頂きました。

まさに稲葉先生にしか話すことのできない事ばかりで、とても貴重な時間を過ごさせて頂きました。

稲葉先生は、テレスコープデンチャーを制作するにあたって必要不可欠な横型研磨器を開発され、今では世界中で使われています。

とても緻密な技工作業が必要となってくるこのテレスコープデンチャーは、正しい方法で、正しい器具を使い、正しい知識と技術を持った歯科技工士の先生方と共に診療の臨むことが、治療を成功させる重要なことです。

またテレスコープデンチャーを成功させる為に、大連結子の設計も重要なポイントとなります。

力学的な考え方や設計のポイントを絵に描きながら解説して頂きました。

またIPSG包括医療研究会では「シュパルテ」と呼ばれる大連結子を使用しています。

そのシュパルテの適応症などの話もして頂きました。

最後に受講生の先生方からの質疑応答をし、終了となりました。

2日間に渡って行われた「ドイツ式パーシャルデンチャーセミナー」でしたが、お忙しい中参加して頂いた先生方、本当にありがとうございました。

IPSGスタッフ一同、とても充実した貴重な時間を一緒過ごすことができ、とても嬉しく思っております。

これからも定期的に様々なセミナーを開催していきますので、皆様と共に学べる時間を楽しみにしております。

最後までご愛読ありがとうございました。
稲葉歯科医院　歯科医師　林聡一