Seminar reportセミナーレポート

’25 2/8,9(土,日)『パーシャルデンチャー・テレスコープシステム理論と実習コースセミナー』開催されました〜その1〜
2月8、9日の2日間 パーシャルデンチャー・テレスコープシステム理論と実習コースセミナーが開催されましたので、ご報告させていただきます。
初日8日は、稲葉繁先生の講義から始まりました。
[現代のテレスコープシステム]
・テレスコープの歴史・基本
・テレスコープ義歯の特徴
シリンダー型テレスコープ・コーヌステレスコープ・リーゲルテレスコープ・レジリエンツテレスコープ
其々の維持力は何で求められているか
利点、欠点
その他の特徴の説明
…コーヌステレスコープの特徴をお話しされている時に、稲葉先生ご自身の下顎の義歯を外され、何の問題も無く機能している事を紹介されました。
レジリエンツテレスコープの特徴をお話しされている時には、上顎を外そうとなさいましたが、「あぁ、これは違うんだった。流石にこれはやってないねー」と仰られて、上顎は義歯ではない事が分かって笑いが起きました。
会場を和やかな雰囲気になさる稲葉先生の話術に引き込まれます。
・固定方式
1次固定 支台歯同士を固定
固定性修復物で直接歯を固定
直接冠をセメントで固着。固定性ブリッジにより固定。ドルダーバーで固定
2次固定 可撤性の義歯を装着することにより固定
CSP(チャンネルショルダーピン)、歯冠内歯冠外アタッチメント、テレスコープクラウンによる固定
…テレスコープは性質感的には固定性ブリッジと同じ。力の伝達方法は1次固定と同じ。有利。
取り外しが出来て管理しやすい。プラークコントロールがしやすい。
・クラスプによる歯の動揺
クラスプと歯は、密着しているが接着はしていない。
そのため義歯の動きと共に歯の傾斜を伴う動揺を生じる。
傾斜移動と歯体移動の差を知ること。
ただ曲げただけのクラスプは、傾斜移動させてしまう。チュービンゲン大学では、ワンピースキャストクラスプ以外は歯を壊してしまうので、禁止されている。
・医院の診療の流れと技工所の製作の流れ
[インプラント時代のパーシャルデンチャー]
インプラントの歴史
始まりは紀元前
1931年ホンジュラスでもインプラント治療された骨が見つかる
ブローネマルクが出る前はアルミナ製のインプラント
アルミナ製インプラントはオッセオインテグレーションしなかった。
テレスコープ
⭕️石川歯科技工士
リーゲルテレスコープの製作工程の説明をいたしました。
種類:回転リーゲル(ドレーリーゲル)、回旋リーゲル(シュベンクリーゲル)
回転リーゲル
現在、作る道具が製造されておらず、事実上作れない
今回の説明は、回旋リーゲル
構成 ・レバー ・軸棒 ・内冠 ・外冠
製作工程①支台歯の方向性チェック
②内冠製作
③外冠製作
④レジン前装・完成
①支台歯の方向性チェック
ミリングが問題無く出来るか、1本ずつ支台歯ごとにチェックする。多数歯の場合、色んな方向を向いていたり、生活歯か失活歯かも関わってくる。
ネガティブヴィンケルが出来るだけ少ない様に着脱方向を決めて先生に削って貰いたいところを事前に把握していただく、という工程。
ネガティブヴィンケルとは
一言で言うと不潔域。テレスコープは、軸面が真っ直ぐなので支台歯の方向によってマージンの部分が移行的に出来ない事が多々ある。マージン部に不潔域ができてしまう。ラボサイドで方向性をチェックするのは、このネガティブヴィンケルを少なくする事を主題において実践している
医院:仮形成支台歯の印象、仮義歯の模型を送っていただく
↓
ラボ:支台歯の方向性チェック。チェックし終えたら医院へ送る
↓
医院:印記された模型を参考に支台歯形成・本印象採得
②内冠製作
医院からいただく物:
・本印象、対合歯模型
・フェイスボウ
・バイト
・トレー製作用スナップ印象(本印象をシリコンで採ってある場合は不要)
・レバー製作
ミリングマシンの紹介、使い方の説明
デモンストレーション
内冠製作
・工程説明
・手動でのミリング方法、デモンストレーション
・シュレーダーゲシーベ製作説明
・オクルーザルコア
・トレー製作説明
ラボ:内冠製作時納品物
①内冠
②オクルーザルコア
③トレー
④バイト(必要ならば)
※レバーはラボで保管
③外冠製作
医院からいただく物:
①内冠シュチュエーション印象
②フェイスボウ
③バイト
注)フェイスボウとバイトは内冠を装着した状態で
ラボ:外冠製作、試適時納品物
①内冠
②外冠(即重レジンにて歯冠回復、床つき)
試適でOKならば送っていただき、完成。完了
⭕️小泉歯科技工士
コーヌステレスコープの製作工程の説明をいたしました。
コーヌス構成 ・内冠 ・外冠
医院からいただく物:
・仮形成した時点のスタディモデル
・対合歯模型
・バイト
・フェイスボウ
・仮義歯が入った状態の模型
ラボ:支台歯の方向性チェック
咬合器に付着してクリアランスが前装込みで1.5mmくらいあるかを見る
小帯起始部の印象が採れてない場合、上下歯茎間距離を測る
内冠製作時
医院からいただく物:
・本印象、対合歯模型
・フェイスボウ
・バイト
・トレー製作用スナップ印象
14、23、27支台歯症例
内冠製作
分割復位式模型
松風スペーサー:ナイスフィット シルバー10μ、ゴールド10μ塗る
ネガティブヴィンケルが出来ない様にコナトアで6°の範囲で調節して方向を決める
・wax up
YETI インナーアンダーライン
…インナーアンダーラインwaxだけだと外れないので、うっすらユーティリティwax盛る
YETI ミーリングモスグリーン
コーヌスの場合は、1本の支台歯に対して方向を変えていく
1本waxupして→ミリング→スプルーイングする工程が終わるまで動かさない
次の支台歯に移る時に、その支台歯にあった方向に動かす。その繰り返し。
・ミリング デモンストレーション
鋳造出来る最低の厚み0.25mm〜0.3mm
軸の長さ 2mm…文献では2mm。臨床では維持が弱く感じる。維持力が無いのが最悪なので、唇・頬側4mm、舌側3mmにしている
・スプルーイング
・鋳造
・研磨ーネガティブの部分も研磨、横型研磨機の説明、デモンストレーション
・オクルーザルコア説明
ラボ:納品物 ・内冠 ・オクルーザルコア ・個人トレー ・希望があればバイト
医院からいただく物:
・内冠シュチュエーション印象 ・バイト(中心位)
・フェイスボウ
外冠製作
・レジン根 デモンストレーション
・外冠用模型作製の流れ説明
・内冠をコーヌス鉗子で持ってパターンレジンでキャップを作製…要らないバーで取手をつける(じっくり放置して固まるのを待つ)→しっかり固まったらネガティブヴィンケルを越えてきたレジンを茶シリコンで落とす→マージンを出したらレジンを外す→取手を外してレジンを均等な厚みにする。内冠につけたまま削る(0.3〜0.5mmくらい)
・waxup 全部のキャップを作り終えたらCr.In用waxでwaxup。
・シリコンパテで型をとる
・前装のスペースをカットバック
片側遊離端の場合 (14、23、27支台歯)
この様な3点支持の場合、片方だけフリーエンドになっているから、沈み込んでしまう。その沈み込みに対する大連結子の設計がとても重要。
・外冠の埋没 熱膨張と硬化膨張…ジャストフィットを目指して1.5%くらいの膨張を外冠に与えたい
ノリタケ:ベストフィッターは1.57%
キャスティングライナーは0.7mmを使用
・維持力 コーヌス角6°で600〜800の維持力。内外冠の維持力は500〜1kgを基準
[ユニメーター]…販売されていない。荷重を測る。
毎度測る訳ではなくて、700gを基準に手の感覚で覚える。
・リテンションビーズのところをパラフィンで埋めて、型に即重を流し、テンポラリーを作る
・床用レジンで左右の位置関係をきっちりとめる
・排列
ラボ:外冠納品
↓
医院:最終試適。位置関係、バイトチェック、シェードチェック
↓
ラボ:床を金属床に置き換える→流し込みレジンを流して重合、研磨→完成
⭕️岩田先生
コーヌス、コナトアの解説
⭕️稲葉先生
維持力の解説
質疑応答
講義が終わった後、ご参加いただきました先生方との懇親会。
1日目が終了いたしました。
Weberdentallabor 越津 穂
開催予定のセミナー
開催日 | セミナー名 | 講師(予定) |
---|---|---|
2025.8.2.SAT〜2025.8.3.SUN | ’25 8/2〜 8/3(土・日)顎関節症ライブ実習コース | 稲葉繁先生 岩田光司先生 |
2025.11.16.SUN | ’25 11/16(日)筋機能療法・エントレ | 稲葉繁先生 飯塚能成先生 |
2025.12.14.SUN | ’25 12/14(日)IPSG Scientific Meeting 2025 ~ 学術大会 〜 | 現在未定 |


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