Seminar reportセミナーレポート

’25 7/21,22,23(土,日,月祝)『総義歯ライブ実習コース』開催されました!前編
IPSG事務局、稲葉由里子です。
2025年総義歯ライブ実習コースが開催されましたので、ご報告をさせていただきたいと思います。
今年も全国より歯科医師、歯科技工士の先生方にお集まりいただきました。
総義歯は、患者様の人生、生き方を一気に変えることができる治療技術です。
義歯は吸着させるだけではなく、咬合をどのように与えるかが大きなポイントです。
稲葉先生の総義歯、シュトラックデンチャーの咬合理論を3日間で学んでいただきながら、患者さまの治療をさせていただきました。
患者さまは50代女性。
〜患者さまの経緯〜
「私のこれまでの経緯についてのご連絡です。
見た目は虫歯のようには見えなかったのですが抜いてブリッジにし
30歳過ぎた頃には歯はボロボロになりました。
総入れ歯を考えた時もありましたが年齢的に抵抗と恥ずかしさがあ
入れ歯は見た目でも分かるし、
20年歯の悩みはいつもありました。本当に毎日歯の事で悩んで、
現在は、すべての歯を抜歯させていただき、今回のセミナーを迎えております。
昨年に引き続き、稲葉歯科神田医院院長、林聡一先生が治療を担当させていただきました。
小平雅彦先生に技工を担当していただきました。
1日目は、患者さまのスタディーモデルの印象から、上下顎同時印象まで行います。
歯列上でゴシックアーチを描記できる器具は、シュライヒ先生の手紙を元に、稲葉繁先生が開発しました。
印象中に、フェイスボウトランスファーができるという画期的な手法です。
上下顎同時印象とは、口の中の状態を丸ごとコピーできる手法であり、患者様ご自身の筋肉の状態を様々な動きをすることにより採得できます。
また、「嚥下」唾を飲み込む状態を再現できるのは、口を閉じた状態であり、口腔内の陰圧な状態までトランスファーする事ができます。
嚥下位は中心位でもあり、理想的な咬合も再現できます。
そして、同時にフェイスボウトランスファーが行われ、この印象一つで、患者様のすべての情報を得る事ができます。
1日目は、石膏を注ぎ、患者様の口の中を再現するためのコアを作り、終了となりました。
2日目は、小平技工士による排列と歯肉形成から始まりました。
稲葉先生の講義を交えながら、小平先生の排列、歯肉形成を見て頂きました。
今回は、IVOCLAR社のフォナレスを使用。
女性らしいフォルムの人工歯を選びました。
試適は、前歯だけ並べて見るものではなく、全ての歯を排列して、咬合、審美性、発音のチェックを行います。
患者様の現在使っていらっしゃる義歯の咬合高径が36ミリとやや低かったため、3ミリあげる予定でしたが、実際排列では42ミリとなっており、患者さまへ試適では口が閉じづらい状態となってしまいました。
下顎、全ての人工歯を外して、咬合高径を39ミリに設定して、再排列を行いました。
本来ですと、もう一度患者さまをお呼びして、再試適を行いますが、今回は完成までの一発勝負。
ということで、小平先生に託し、本日は終了となり、そこから夜中まで歯科技工士による埋没から重合が始まります。
Weber dental labor のメンバーも総動員。
歯科医師、歯科技工士、歯科衛生士、沢山の人達の叡智が集まり、一つの義歯ができあがります。
1次埋没・2次埋没・3次埋没と行い、埋没終了後、流ロウします。
イボカップシステムです。現在、イボーション(ミリングデンチャー)と並んで世界中で最も精度の高い適合方法と言われています。
これまでの製作法は、上下に分かれるフラスコを用い、そこにレジンを詰めて熱湯で固めるという簡単な方法です。
レジンは元々熱を掛けると必ず収縮します。そのため、フラスコの中でレジンは収縮を起こし、床の中で気泡となって残ってしまったり、変形の原因になったりします。
義歯を長く使用すると気泡の中へ色素が沈着したり、臭いの原因となったり、破折しやすくなってしまったりするのはこのことが要因となるからなのです。
その弱点を補填することが出来る方法が考えられました。それが『イボカップシステム』です。
イボカップシステムは、3トンの圧力に耐えるフラスコと6気圧の圧力でレジンを補うことが出来る方法で、収縮を補正しながら精度の良い総義歯を作ることが可能です。
終電目指して、夜中まで、歯科技工士達が頑張りました。
3日目に続きます。
参加受付中のセミナー
開催予定のセミナー
開催日 | セミナー名 | 講師(予定) |
---|---|---|
2025.11.16.SUN | ’25 11/16(日)筋機能療法・エントレ | 稲葉繁先生 飯塚能成先生 |
2025.12.14.SUN | ’25 12/14(日)IPSG Scientific Meeting 2025 ~ 学術大会 〜 | 現在未定 |





Mail magazineIPSGの無料メールマガジン
歯科業界最新情報やセミナー案内を毎週月曜日に配信しています。
IPSGのメールマガジンでは、ドイツの歯科技術を中心に、歯科医療全体の向上に繋がる歯科業界最新情報、セミナー案内・レポートをお届けします。
咬合、顎関節症、総義歯など、幅広いテーマを取り上げ、あなたの診療に役立つ知識が満載です。