Seminar reportセミナーレポート
’14 3/9(日)『顎関節症の診断と治療』開催されました【後半】
後半はIPSG副会長、岩田光司先生の講演の内容をお伝えします!
顎関節の状態がどのようになっているのか。
についての分類法について、岩田先生から詳しく解説がありました。
上記パワーポイントのように、
Stage1:関節円板に乗って動きは正常ですが、筋肉に緊張がある状態です。
目標の顎位は、Zone of Centric Relation.
Stage2:関節円板の転移があるけど、再び戻る状態です。
この状態の目標顎位は、Adaptional Functional Position On the Disk.
関節円板に乗った状態で治療することができます。
Stage3:関節円板が落ちっぱなし。復位してこない状態です。
このような場合は、補綴や義歯によって、顆頭を下げて痛みをとってあげます。
KaVoのプロターのPDRインサートを挙上することで、顆頭を下げることができます。
PDRインサートの挙上量についても、岩田先生の研究内容を詳しく先生方にお聞きいただきました。
スプリントについても、
Stage1.Stage2は、リラキゼーショナルスプリントを用います。
リラキゼーショナルスプリントとは、下顎頭と下顎窩、関節円板が正常な場合、筋肉の緊張を和らげるもので、治療後の最終的な咬合形態をとるものです。
これは、フルバランスの状態で顎が自由に動く位置です。
前歯と臼歯のハーモニーがとれた状態は顎関節を守ります。
あまり前歯誘導型のようなスプリントはおすすめできません。
その理由は、前歯で誘導することにより顎関節に異常な力が入ってしまうからです。前歯部の一か所に力がはいると、テコの作用で咬筋が収縮し、関節に力が入ります。前歯の誘導は関節がしっかりしている正常な場合のみ付与するものなので、気を付けてください。
Stage3においては、やはりPDRインサートを用いて顆頭を下げた状態で、フルバランスで作るスプリントで対応します。
また、前歯誘導にしないといけない症例は開咬です。
開咬の場合は、臼歯が誘導している形態ですから、非常に筋肉の緊張がみられます。
そして、臼歯の異常な力がはいるためすり減り、動揺などの障害がでてきます。
その場合はできるだけ関節から離れた前歯に誘導をもとめて臼歯を守るべきです。
スプリントはただ装着すればよいのではなく、症状によって咬合をカスタマイズする必要があります。
歯が噛み合わなければいいというものではありません。
最終的に、いつまでもスプリントをはめているわけにいかないので、根本的な原因を咬合診断で探し、除去することが大前提です。
PDRインサートとは、上下の模型を中心位または咬頭嵌合位で付着後、下顎頭を任意の方向に動かすことができる道具です。
Pは前方に、Dは下方にRは後方に調節することができます。
KaVoの説明では、先生のバイトの位置がずれてると思われるときに、技工士が任意に調整するための道具だといいます。
稲葉先生は、PDRインサートを用いて、それ以上のすばらしい使い方をしています。顎関節症の患者様の補綴物、義歯の製作の時に使用しています。
「顆頭を下げる」という概念は考えもしないかもしれませんが、稲葉先生は、実験でも証明しています。
顎関節症時、円板の前方転位があった場合、円板の厚みの量3ミリを顆頭を下げることにPDRインサートを利用しています。
他の用途で作ったPDRインサートですが、副産物として、すばらしい機構をもっています。このような咬合器は数少ないと思います。
顎関節の梃子現象についてや、関節円板の脱落を検査する、レジリエンツテストについても、わかりやすいパワーポイントを用いて説明いただきました。
岩田先生の情報量は溢れるほどで、今回用意していただいた内容は膨大でした。
質問には即答。
どんなことにも迷いなく答えていらした、岩田先生は素晴らしいなと思いました!
今回も非常に沢山の先生方にお集まりいただき、誠にありがとうございました!