Seminar report

’22 『総義歯ライブ実習コース』開催されました②

’22 『総義歯ライブ実習コース』開催されました②

2022年7月16・17・18日の3日間総義歯Live実習が行われたので報告させて頂きます。

今回のレポートは7月17日 2日目のセミナーです。

2日目は上下顎同時印象から開始します。

昨日製作した個人トレーを試適し、ゴシックアーチトレーサーの描記針の位置を確認・調整を行い、中心位に誘導を行ってから歯列上でゴシックアーチを描いていきます。

そうして描かれたゴシックアーチです。

このゴシックアーチから咬合採得を行う1点を定めます。

それぞれのゴシックアーチのapex部にディンプルを掘り込むことにより印象採得時に咬合採得を行いやすくしています。

またこの個人トレーにはフェースボウを採得する為のネジが埋め込まれている為、上下顎同時印象法を用いると ①上下の精密印象採得 ②咬合採得 ③フェースボウの採得が同時に行うことできる画期的な方法となっています。

上下顎印象法では口腔内全体(口腔周囲筋)の印象を取る事ができます。

これはシュトラックデンチャーを製作する上でとても重要なポイントとなります。

また口唇の印象採得ができる為、上顎前歯部の配列にとても役立ちます。

次に人工歯のシェード・モールドを選び、チェアサイドは終了となりました。

続いてラボサイドの工程に移ります。

まず初めに舌コアを製作していきます。

このコアを製作することにより、患者固有の舌を再現し、ニュートラルゾーンを示す基準となります。

続いて模型製作・咬合器付着をしていきます。

咬合器付着が終了したら、石膏コアを製作していきます。

先ほど製作した舌コアとこの石膏コアは、人工歯配列や義歯床形態を製作する上で、とても重要な工程となります。

次に人工歯配列を行います。
配列の順序は、上顎前歯部・下顎犬歯・下顎臼歯部・上顎臼歯部・下顎前歯部の順番で並べていきます。

上顎中切歯は、切歯乳頭や口蓋雛壁などの基準ポイントをもとに配列をしていきます。

また審美性がとても重要な箇所となるので、石膏コアを製作することで上唇下縁の位置が示され中切歯切端の位置を決める事ができます。

次に下顎犬歯を上顎側切歯と犬歯の歯間部に下顎犬歯の尖頭が入るように位置を決めていきます

下顎犬歯の位置が決まるとパウンドラインやテンプレートを用いて下顎臼歯を並べていきます。

下顎臼歯部の配列が終了したら、それに合わせて上顎臼歯を並べていきます。

上顎臼歯部は、6→5→4→7の順番で配列します。

最後に下顎前歯部を並べて、人工歯配列は終了となります。

続いて舌コア・石膏コアを用いて義歯床形態を製作します。

上下顎同時印象法を用いた総義歯(シュトラックデンチャー)では、デンチャースペースを使った義歯床形態がとても重要になります。

また口腔周囲筋や舌を用いて義歯を維持安定させる為、このコアが目安となり義歯床形態を決定していきます。

最後に口蓋雛壁を付与します。

口蓋雛壁は、咀嚼・味覚・発音にとても重要な役割を果たします。

以上で蝋義歯完成となります。

そして蝋義歯試適となります。

蝋義歯試適では、咬合の確認・義歯形態の確認・審美・発音の確認をしていきます。

咬合に問題は無かったのですが、顔貌や発音に違和感がありました。

顔貌は右側の口角が下がっていることや発音はサ行が言い難いとのことでした。

稲葉先生がその場でワックスを盛り足し、形態修正を行いました。

顔貌は右側の口角が上がり、左右のバランスがよくなり、より美しい表情となりした。

発音の全く違和感なく話しやすく、聞き取りやすくなり、蝋義歯形態が決定しました。

このように総義歯では術者が自由に患者様に合った義歯形態を製作できます。

ただその為には問題を解決するための確かな知識と技術、診断能力が必要であることをまじまじと感じました。

このような貴重な経験が出来ることは、総義歯Live実習の醍醐味であると身をもって感じる事ができました。

2日目はここで終了となります。

最終日の3日目は、咬合調整~埋没・重合~完成・装着となります。

皆様と総義歯Live実習の感動と興奮を共有できればと思っていますので、また報告させて頂きます。

最後までご愛読ありがとうございました。
稲葉歯科医院 歯科医師 林聡一

▼レポート③はこちら
https://ipsg.ne.jp/full-denture-live-2022-report3

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