Questions歯科治療に関するQ&A
Q:コーヌスクローネの内冠、外冠のセット方法について教えてください
稲葉先生の『正統派コーヌスクローネ』を読ませていただくと、内冠、外冠同時にセットすると書いてありました。
どのようにセットするのが正しいのか、詳しくお聞かせいただけないでしょうか。
維持力を正確に出すことと、それが長く続く事が必要です。
そのため、内冠と外冠は精密にゼロフィッティングで適合させる必要があります。
正確にミリング、あるいは研磨機を用いて研磨された内冠で、直接外をワックスアップし、埋没剤の混水比により膨張率を調節し、ゼロフィッティングさせる事ができます。
したがって、内冠をセットしてからそれを印象し、模型上で外冠をワックスアップし、完成させるのは間違いです。
石膏模型は膨張しますから、できあがった外冠は膨張してしまい、維持力を失ってしまいます。一度維持力を失った外冠は、再度維持力を出す事はできませんので再生しなければなりません。
正しい装着の方法は、内冠上で制作した外冠は別々にセットするのではなく、最後に内冠と外冠、同時に装着して下さい。
内冠を先にセットしてから、外冠をセットすると、まず合いません!
気をつけてください。
試適して咬合調整まで行ったら、合着なのですが、手順として、
1.外冠の内側にたっぷりとワセリンもしくはココアバターを塗ります。
2.スピードが大切なので、衛生士としっかりと打ち合わせをし、どこからセットするか順番を決めます。
3.内冠に合着用セメントを入れ、セットしていきます。
4.セメントが固まらないうちに、外冠も一緒にはめ込み、セットします。
これでOKです。
今回は支台歯が多かったので、2回に分けてセットを行っても構いません。
常に、コーヌスクローネを装着したポジションをキープしながら、セットします。
コーヌス角6度を付与したコーヌスクローネは、患者様が外すのが難しい場合があります。
そのような場合、指や爪が引っかかるところをつけて差し上げると良いと思います。
歯頸部もコナトアを使用しているため、ネガティブヴィンケル(アンダーカット)見えずに綺麗に処理してあります。
そうそう、試適時にもう一つ重要なチェックポイントがあります。
それは、ミラーを用いた舌側の内外冠の適合状態です。
術者は上から口腔内を直視するため、口唇側の歯頸部の確認はできるのですが、ミラーを使って、
舌側からのチェックも行っていただくことをお薦めします。
セットした後、コーヌスクローネは一層沈み込みを起こし、ゼロフィッティングしていきます。
当時稲葉先生が出版した
『正統派コーヌスクローネ』が冊子になりました!
他では入手することができない一冊、販売もしておりますので、ぜひお手に取って頂けたら幸いです。