Questions歯科治療に関するQ&A
Q:舌を鍛えることで、どのような効果があるのでしょうか。 正しい舌の使い方についても教えて頂ければと思います。
これまでは、一般的に歯科医療というと歯と歯肉が中心でしたが、我々の治療対象は顎口腔系である上下顎骨、筋肉、上下歯列、口腔粘膜、舌、神経、血管などからなり、その生理的役目は咀嚼、嚥下、講音や発音、さらに味覚の認知などがあります。
その中で咀嚼は硬組織である歯や歯列で行いますが、嚥下や発音は軟組織で行われ、口腔周囲筋や舌の役割は大変重要です。
その中でも舌の役割は大変重要ですが歯科治療中にはそれほど重要視されていません。しかし嚥下行動や発音には『舌』はもっとも重要です。
歯列の成長は外側から頬筋や口輪筋で囲われ、内側からは舌の形態により形成されます。
特に舌は固定されているものではなく、咀嚼、嚥下や発音により常に形態が変わり動いています。正しい嚥下や発音により良い歯列形態が形成されます。
実はこの舌運動は赤ちゃんが生まれて授乳が始まりますが、基本的には母親からの授乳行動が基本となります。つまり乳頭を口に銜えこみ、舌により乳管洞を強く圧迫し、さらに上下の顎堤により挟み込んで母乳を舌に乗せて咽頭へ送り込みます。
この行動は赤ちゃんにとり大きな負荷のかかる動きで、この行動により口腔周囲筋や舌の筋肉が鍛えられると共に正常な歯列と唇、頬筋などの筋肉が作られます。正常な哺乳行動により、正しく舌を使った嚥下行動や呼吸法を獲得していきます。
しかし現在母乳から哺乳瓶を使った人工的な哺乳が行われるようになり、本来の口腔周囲筋を使った負荷のかかる哺乳から哺乳瓶を使った大変楽な哺乳へ変わってきました。
赤ちゃんは哺乳瓶に入ったミルクをなんの力を加えることなく、また舌を口蓋に押し付けることもなく、逆に自然に流れ出たくるミルクを止めようとして舌を突出させるような行動を覚えてしまいます。
そのことにより歯列は狭くなり奥の歯は内側に倒れ、歯列は正常な形態にならなくなってしまいます。この舌を出す行動は嚥下は勿論のこと発音にも影響します。
さらに年齢を増してもこの行動は正常に戻らず、永久歯列はΩ方の臼歯が狭くなった歯列が形成されてしまいます。
間違った舌の使い方で様々な弊害が生まれてきますので、母乳保育が基本となり、正常な哺乳が出来るように考えられた哺乳瓶を使われることをお勧めいたします。
IPSGの研修ではこのような正しい哺乳、筋機能療法、摂食咀嚼、嚥下行動を学ぶエントレの効果について研修します。
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