Seminar reportセミナーレポート
’23 7/15~17(土,日,月祝)『総義歯ライブ実習コース』開催レポート2日目
総義歯ライブ実習コース2日目。
上下顎同時印象法により採得された印象のコア作りからです。
このように、患者様の頬の位置、舌の位置がわかるため、排列の指標となります。
コアがない場合、歯槽堤がある、内側に排列してしまう可能性があり、実際に患者様の口元に義歯を入れると、歯列が小さくボリュームがなくなってしまい老けた表情に見えてしまうでしょう。
今回も小平デンタルラボの小平先生がメイン技工士、他にも沢山の技工士のサポートにより作り上げます。
前歯は患者様の要求度が高いところであり、個性の表現が大切です。
口蓋皺襞の一番目の皺襞の端から9ミリのところに、犬歯の唇面があたるのが基準(基準CPCライン)といわれています。
従って、模型の分析と、コアが非常に重要です。
調節湾曲というテンプレートを用いて、理想的な歯並びになるように人工歯を並べていき、最後に下顎の前歯を並べます。
シュトラックの人工歯(商品名オルソシット)を使用したフルバランスは作業側では小臼歯の2本が誘導し、平衡側では反対側の大臼歯のスタンプカスプの内斜面が誘導しバランスを取ります。
シュトラックデンチャーの特徴として、後顎舌骨筋窩の上で止め、舌の動きを邪魔しないように設計されています。
そのかわり、舌の動きにはほとんど左右されないサブリンガルルームを利用し、維持安定に役立てています。
排列だけではなく、歯肉形成も特徴の一つです。
という事で、いよいよ患者様の試適を迎えます。
お顔の小さい患者様に合わせて、Ivoclarの人工歯の中でも一番小さいタイプのものを選びましたが、それがピッタリでした。
お顔の形の16分の1が、人工歯のサイズ。
美しく見える大きさです。
試適が終わった後、患者様よりメッセージをいただきました。
「とても綺麗に作ってくださり本当にありがとうございます! 見た目ももちろんですが、痛みもなく感動いたしました。 明日、とても楽しみです。どうぞよろしくお願い致します。」
受講して頂いてる先生方が、勉強だけではなく、患者様を優しく応援してくださっている事が伝わって参ります。
続いて蝋義歯の咬合調整を行います。
咬合様式は、フルバランスドオクルージョン。
前方運動では、上顎第二小臼歯遠心斜面と下顎第二小臼歯近心斜面で誘導させます。
偏心運動では、作業側小臼歯の上顎近心内斜面と下顎遠心外斜面と平行側大臼歯のスタンプカスプの内斜面同士での接触で同時に誘導させます。
咬合調整後、最終的な歯肉形成・ポストダムを付与を行います。
ポストダムは上顎義歯を維持安定させる為にとても重要な役割を果たします。
形態から深さ、ぜひこの図を参考にしていただきたいと思います!
蝋義歯完成後、2日目のセミナーは終了しましたが、これから夜中にかけて歯科技工士による埋没と重合、削り出しが始まります。
1次埋没・2次埋没・3次埋没と行います。
埋没終了後、流ロウします。
イボカップシステムです。現在、イボーション(ミリングデンチャー)と並んで世界中で最も精度の高い適合方法と言われています。
これまでの製作法は、上下に分かれるフラスコを用い、そこにレジンを詰めて熱湯で固めるという簡単な方法です。
レジンは元々熱を掛けると必ず収縮します。そのため、フラスコの中でレジンは収縮を起こし、床の中で気泡となって残ってしまったり、変形の原因になったりします。
義歯を長く使用すると気泡の中へ色素が沈着したり、臭いの原因となったり、破折しやすくなってしまったりするのはこのことが要因となるからなのです。
その弱点を補填することが出来る方法が考えられました。それが『イボカップシステム』です。
イボカップシステムは、3トンの圧力に耐えるフラスコと6気圧の圧力でレジンを補うことが出来る方法で、収縮を補正しながら精度の良い総義歯を作ることが可能です。
セミナー終了後、泊り込みで重合まで行い、患者様の笑顔のために力を合わせて頑張りました!
3日目に続きます。