Seminar reportセミナーレポート
’15 7/18,19,20(土,日,月祝)『総義歯ライブ実習コース』開催されました【その2】
2015年7月18日19日総義歯ライブ実習コース ②
レポート:歯科医師/小西浩介先生
2日目
実習コース2日目の内容を報告させて頂きます。
2日目は、午前中に個人トレーを用いてゴシックアーチの描記と、このシステムの醍醐味である上下顎同時印象を行い、午後に蝋義歯の試適を行います。
1日目に引き続き、今回は本当に稲葉先生以外でもできるのかということを実証するために、患者様デモ実習はIPSG副会長の岩田光司先生に行って頂きました。
まずは1日目に製作した個人トレーを用いて、ゴシックアーチの描記を行いました。
描記ピンが歯列上の3点式なので、非常に安定した状態でゴシックアーチを描くことができます。
このようにアペックスにディンプルをつくり、中心位で最終印象ができるように、上下顎同時印象の準備を行いました。
いよいよ次は、上下顎同時印象を行います。
先ほどのゴシックアーチで求めた中心位で、口腔内のデンチャースペースを採得します。
最終印象時に嚥下などを行わせるため、印象面には口腔周囲筋・舌・口唇などの形態も印記されます。
また、印象硬化後にフェイスボートランスファーを行いますので、採得されたデンチャースペースをそのまま咬合器に付着することができます。
このように上下顎同時印象の最大の特長は、口腔内のデンチャースペースをそのまま一塊にとりだしてくることができることです。
そして最も重要なのは、この一塊に取り出した1つのものを、咬合器上で上下顎の2つのものにわけるということです。
従来の方法のように、上下顎の2つのものを別々に作り1つに合わせるというのは非常に難しいものだと思います。
1つのものを2つに割って、1つに戻す。したがって、狂いようがありません。
あとはこの採得されたデンチャースペース通りに、義歯を製作すれば義歯の形が出来上がります。このように、決して臨床ステップは難しいものではないと思います。
以上で、午前中の臨床操作が終わりました。
午後の蝋義歯の試適に備えて、実際の技工操作を見て頂きました。
昨年に引き続き、今回の技工操作もIPSG総義歯実習コースの技工インストラクターである小平雅彦先生に担当して頂きました。
2年前までは、BPSの大元であるシュライヒ先生の総義歯コースの元技工インストラクター、阿部晴彦先生の元技工インストラクターであった故岡部宏昭先生に担当して頂いておりました。
故岡部先生自身が生前から明言していた、一番弟子が小平先生です。
故岡部先生から受け継いだ豊富な知識と小平先生の素晴らしい技工テクニックによって、今年も技工操作・解説をして頂きました。
作業用模型製作から石膏コアの製作、咬合器の付着、人工歯排列、歯肉形成まで行って頂きました。
このように、この総義歯実習コースは一つ一つの臨床ステップだけではなく、技工ステップもデモと解説をしながら進めていきます。
したがって、歯科医師と歯科技工士のペアで参加された先生方は、すぐにこのシステムを臨床で実践することができるようになっています。
是非、歯科医師と歯科技工士のペアでご参加頂けたらと思います。
このように、口腔周囲筋・口唇・舌のコアに囲まれたデンチャースペースに、正確に排列され歯肉形成されています。
したがって義歯は安定するだけでなく、空気の侵入が少ないので十分な吸着が得られるのです。
蝋義歯が完成しましたので、試適です。
もちろん開口時に下顎の総義歯が浮き上がることはありませんし、試適の段階ですでに十分な吸着が得られています。今回も調整するところもなく試適が完了し、2日目が終了しました。
このまま重合精度の高いイボカップシステムで重合し、明日の朝に研磨して完成義歯を装着します。
2日目の終了後、稲葉先生を囲んでたくさんの先生方が、このシステムについての感心のお声を掛けて下さいました。
実際の詳細なステップをライブで見ることで非常に勉強になると思います。
明日はいよいよ完成義歯の装着です。
3日目の内容は、次のレポートにて報告させて頂きます。
レポート:歯科医師/小西浩介先生