Seminar reportセミナーレポート
’14 6/1(日)『ハーモニックオクルージョン~審美と咬合のハーモニー~』開催されました【前半】
午前前半レポートは、佐藤孝仁先生よりお送りします。
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日本は超高齢社会を迎え、歯の欠損に対する治療の需要はさらに加速しているように思われます。
それに伴い、インプラント治療や義歯治療の需要も増しています。
しかし、インプラント治療が無秩序に世の中に広まってしまった結果、インプラントによる事故がテレビ等で放映され、最近では義歯治療を選択する患者様が多くなってきているようにも感じています。
その際にIPSGで研修をしているテレスコープシステムによる義歯治療や上下顎同時印象法による総義歯治療はとても有効な治療であると思います。
IPSGではこういった高度な治療を重要としていますが、一番大切なのは歯の予防をする事だと感じています。そのため、IPSGで研修しているものはすべて予防を考慮した治療となっています。
先ほど述べたテレスコープシステムによる義歯を例にとって説明させていただきますが、この義歯は別名“予防補綴”と名付けており、修理をしながら一生その義歯を使っていけることはもちろん、この治療をすることで咬合を安定させ歯の長期の保存も目的としています。
このようにIPSG研修会は長期的な歯の予防を中心として顎関節症の治療・上下顎同時印象(総入れ歯)・テレスコープシステム・摂食嚥下機能の4本の柱を軸とした包括的な医療を学べる研修会です。
それでは今回も研修のレポートをさせていただきます。
そもそも今回の題である“ハーモニックオクルージョン”という言葉を知らない方が多いかと思います。
この言葉は稲葉繁先生が考案されました。その意味は『審美と咬合の調和』です。審美と咬合、つまり機能が調和しなければ長期的な治療にはならないという思いのもと、考案されました。
その際に一番大切なことは“顎関節”を考えることだとおっしゃっています。
すべての咬合はこの顎関節部を中心とした回転運動です。
なので、この顎関節なしでは咬合はありません。
そのため、咬合を第一に考えているIPSGでは顎関節症の治療が4つの柱の1つとしています。
下顎骨の顎関節を中心とした動きに関わる口腔周囲筋の基本的な話から、他の動物の顎の話、ヒトの歯列がなぜうまく出来ているのかという話をされていました。
稲葉繁先生のその知識量の多さには多くの受講生も驚かれたと思います。
動物の顎の話や人の歯の出来る順序など、普段の臨床には一見必要になさそうな知識の話をしますが、こういった知識を持っているかいないかで咬合の理解度が大きく変わってくるように私は思います。
人の歯の出来る順序のスライドを使いながら、“クロージャーストッパー”や歯の解剖の話などをされました。
そして人の歯の出来る順序から出来上がった技術が、“ワックスコーンテクニック”です。
これはそもそもV.Peinが考案し、それを広めたのがワックスコーンテクニックで有名な、多くの方がご存じのピーター.K.トーマス先生です。
そこから、ナソロジーのような咬合理論を提唱する先生方が出始め、多くの著名な先生方により改善・改良され、今ではより顎関節が安定した咬合理論がほぼ完成しつつあります。
稲葉繁先生はドイツを中心とした世界的に有名な先生方の研修を受け、その中で最適とされる咬合理論をIPSGで教えています。
また、咬合器の知識は本当に圧巻です。
稲葉先生は私も見たことがないような全調節性咬合器まで使われていました。
もちろん、他の有名な咬合器の形状や使い方なども熟知されています。
そういった知識のもと、色々な咬合器の種類を説明され、さらには咬合器の仕組みを説明されていました。
前半はこういったお話と、全顎のリーゲルテレスコープの30年以上の経過症例を交えながら咬合の基礎を説明して頂きました。
前装部分が破折していますが、30年以上の経過症例をことは本当にすごいです。
完璧ではないにせよ、きちんと咬合を理解した治療でなければこんなに長くは持たないでしょう。
稲葉先生は30年以上前には計算できなかったことがあり、なぜ前装が割れてしまったのかまで今では把握されています。
ちなみにリーゲルテレスコープは可撤性ですので、その日のうちに修復されたそうです。可撤式であるということはとても素晴らしいと私も改めて実感させられました。
ここで、お昼休みを1時間とり、いよいよセミナー後半です。
レポート:佐藤孝仁先生
咬合認定医コース開催のご案内
IPSGでは、歯の治療だけに注目せず、歯科医師が担っている「恒常性の維持」の1つである食物摂取系を支える歯科医療を目指しています。
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