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Q:日常の臨床において日本人の歯には黄金比よりも 白銀比(1:1.414)の方が向いているように思いますがいかがでしょうか?

この記事を監修した人

稲葉先生
IPSG包括歯科医療研究会 代表 /
元日本歯科大学 教授稲葉 繁

1964年に日本歯科大学を卒業後、同大学院を修了し、補綴学教室の講師、助教授を経て、1992年に高齢者歯科学教授、1999年に補綴学第3講座教授を歴任。1978年にはドイツ・チュービンゲン大学で客員教授として活動。
1994年、ドイツ・アルゴイ地方での研修会を契機にIPSG包括歯科医療研究会を結成。30年以上にわたり、現在も包括歯科医療の発展に寄与している。
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Q.日常の臨床において日本人の歯には黄金比よりも白銀比(1:1.414)の方が向いているように思います。
先生のお考えをお聞きしたいと思いご質問させていただきました。
A.ご質問ありがとうございます。審美に関してのご質問ですね。

最近よく話題になる、前歯の大きさに関する黄金比の正確性ということだと思います。

ギリシャの数学者、哲学者であるピタゴラスは「自然現象には合理的配列と連鎖と法則があり、その関係は量または数で表示することができる」としていました。

人間の歯列も同様に、自然界の法則でその大きさはまさに合理的な排列であるということができます。
特に審美と関係する前歯には、この関係がよく表れています。

黄金分割とは、英語はgolden Section.ドイツ語ではGoldene Schunittと言い、1:0.618の比率で古来考古学者や美学者たちから重要視され、黄金の名を冠するようになりました。

中世時代にはこの比例は極度に神秘化され、神意によって授けられた物として、神授比例法と呼ばれていました。

歯科では、前歯の大きさの中でも中切歯と側切歯の関係がこの比例とほぼ合致していると言われます。

すなわち中切歯の幅を1とすると、側切歯の幅は0.618であり、両者を合わせると1.618となり、まさに黄金比であると言われています。

一方、日本人には黄金比より「白銀比」Silver ratio1:√2であるルート2矩形として1:1.414の方が近いのではないかという意見もあります。

この√2矩形はA4とかB4などと言われる紙の大きさに使われ、半分に折っても常に同じ形となる縦横の比例です。

A型は欧米で用いられているものであり、B型は日本独自で生まれたものです。

黄金比であるか白銀比であるかは、わずかな差であるので、これを中切歯と側切歯の差で表すことは難しいことであると思われます。

実際の歯の大きさから比較してみると、中切歯が1として側切歯は0.76程度です。

したがって歯の大きさは数学的に表されるものではないものであり、顔の大きさや幅に作用されるものと考えられ、どちらを取るかは症例によると思います。

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