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Q:総義歯の人工歯を選ぶときの色、形、大きさの基準を教えてください

この記事を監修した人

稲葉先生
IPSG包括歯科医療研究会 代表 /
元日本歯科大学 教授稲葉 繁

1964年に日本歯科大学を卒業後、同大学院を修了し、補綴学教室の講師、助教授を経て、1992年に高齢者歯科学教授、1999年に補綴学第3講座教授を歴任。1978年にはドイツ・チュービンゲン大学で客員教授として活動。
1994年、ドイツ・アルゴイ地方での研修会を契機にIPSG包括歯科医療研究会を結成。30年以上にわたり、現在も包括歯科医療の発展に寄与している。
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Q.総義歯の人工歯を選ぶときの色、形、大きさの基準を教えてください。また、稲葉先生おすすめの人工歯などあれば教えていただければと思います。
A.総義歯に使用する人工歯の選択に際して、最初に色を決めますが、その際使用する色見本をシェードガイドと言います。

シェードテイキングの基本は皮膚の色を参考にしますが、皮膚の色には白い人や黒い人がいますので、色の明るさや鮮やかさを調べなくてはなりません。

明度は色の明るさを表します。もっとも明るいのは白で、もっとも暗いのは黒です。この間で皮膚の色に近いものを選択します。

さらに、どの程度鮮やかさであるか彩度を決定します。日本人の場合はオレンジ系統のシェードが基本になります。代表的なものはビタシェードがあります。

一般的にシェードガイドのAタイプを選択すれば間違いないと思います。

総義歯の場合には、全ての歯を修復しますから、一本の歯を修復するとは比べようがないほど簡単です。

色が白い人ではA 2、濃い人ではA 3.5位を選択すれば間違いありません。患者様としては白い歯を望む事が多いので、我々の考えよりわずかに白い歯を選べばよいのではないでしょうか。

次に人工歯の形態ですが、人工歯の形態には S,SS,O,T,Cタイプ等があります。

形態の選択にはモールドガイドがあります。
人工歯の中切歯の形態は顔の形を180度回転した形と相似形であると言われますが、必ずしもそうとは限りません。

例えば、顔が細い人はTタイプが良いと考えますが、これを使用すると鼓形空隙が大きくなり、あまり審美性がよくありません。隣接面の形は点接触よりも面接触のほうが審美性が良くなります。2つの風船を膨らませ、横から押し付けた様な形が良いとされていますので、SあるいはSSを選択すれば間違いないでしょう。

次に、人工歯の大きさは顔の大きさを参考にします。

人工歯の長さは頤から髪の毛の生え際を計測し、その16分の1が基準となります。

人工歯の幅の決定では、左右の頬骨の距離を測り、その16分の1が標準になります。この計測方法は非常に簡単なので、ぜひ利用してみてください。

私は総義歯の場合の人工歯は、イボクラー社のものを使用しています。そのためシェードガイドはクロマスコープを使用しています。

このシェードガイドは明度と彩度が選択しやすく、人工歯の色と形態が決まりますと、臼歯は表を見る事で自然に決まるようになっているため使いやすいと思います。

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開催日 セミナー名 講師(予定)
2025.8.2.SAT〜2025.8.3.SUN ’25 8/2〜 8/3(土・日)顎関節症ライブ実習コース 稲葉繁先生
岩田光司先生
2025.11.16.SUN ’25 11/16(日)筋機能療法・エントレ 稲葉繁先生
飯塚能成先生
2025.12.14.SUN ’25 12/14(日)IPSG Scientific Meeting 2025 ~ 学術大会 〜 現在未定

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