Questions歯科治療に関するQ&A
Q:総義歯の印象で、嚥下をする事の意味を教えてください
最も重要な事は言うまでもなく正確な顎堤の印象です。
上顎は歯槽堤、ハーミュラーノッチ、硬口蓋と軟口蓋の移行部迄、下顎も同様に歯槽堤及び臼後三角迄を模型に再現します。
ギージーの歯槽頂間線法則は、上下の歯槽頂を結んだ線上に人工歯を排列するという法則です。
無歯顎になると、上顎は頬側が吸収されて小さくなります。特に臼歯は抜歯すると頬側と舌側の歯肉の接合部がスジ状に残ります。
ここを残遺溝と呼びますが、この内側に歯槽頂がきます。逆に下顎は舌側が吸収さますので、上下の歯槽頂を結ぶと、元あった天然歯の位置と上顎はかなり舌側に排列しなければならなくなります。その結果頬側にスペースを生じてしまいます。さらに頬のサポートができなくなります。
以上の理由からギージーの歯槽頂間線法則は否定されています。
それにかわって、シュトラックデンチャーは元あった天然歯の位置に人工歯を排列するという、元あった天然歯の位置に人工歯を排列するという方法で、義歯のサポートを口腔周囲筋により安定させるものです。
したがって、シュトラックデンチャーはデンチャースペースを確実に再現する必要があります。
そこで私は上下顎を同時に印象し、デンチャースペースを再現する方法を考案しました。
この方法は、まず個人トレーは歯槽堤を上下共レジンで製作し、その歯槽堤上でゴシックアーチを描記して顎位を決めた後、その位置で上下歯槽堤と共に口腔周囲筋の印象を採得し、デンチャースペースを再現しようとするものです。
その印象の際、口腔の機能時の筋の動きを印紀する事が大切です。
唇を尖らせたり、口角を引いたりして口輪筋、頬筋を緊張させるために「イー」「ウー」を発音して頂きます。
さらに印象の途中で嚥下をしてもらいます。
嚥下をすると、ニュートラルな位置、中心位に戻るのも非常に大きなポイントです。
嚥下をしないと、舌の位置が後ろに下がり、後退位で記録される原因ともなるので、気をつけましょう。
嚥下運動は口腔の総合された運動であり、口輪筋、頬筋、さらに舌の動かすことで、顎舌骨筋の働きによる舌側の形態が印記されます。
したがって、閉口印象による機能時の印象が取れるため嚥下時の口腔周囲筋の印記は大変大切です。
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『嚥下をすると、ニュートラルな位置、中心位に戻るのも非常に大きなポイントです。』
これ大事ですね!
嚥下位の印象をとれるのは上下顎同時印象法でしかできませんね。
ぜひ、目の前でご覧頂きたいと思います。(稲葉由里子)