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稲月 常貴和先生

稲月 常貴和先生
(岡田歯科クリニック)

咬合認定医コースを受講しようと思ったきっかけを教えてください。

今まで⼤学病院の⼝腔外科や⼀般開業医で勤務して感じたのが、顎関節症で悩まされている⽅はとても多くいるということです。独学で開⼝訓練やマウスピース治療やマニュピレーション等を⾏い、軽度の⽅は開⼝出来る状態までもっていけましたが、完治することがなく、おそらく咬合の問題なのは経験上感じてはいましたが、どこが原因⻭なのかまでは診断が出来ませんでした。

顎関節症の治療は⻭科医師でもマイナーな分野で、⾊々な先⽣に相談しても望む答えが得られませんでした。

以前働いていた職場で、クローズドロックの患者さんに対する、効果的なマニュピレーションの⽅法を教えて頂き、その先⽣にもっと顎関節症について学びたいと相談したところ、IPSGの顎関節治療のセミナーでマニュピレーションの⽅法を学んだ事を聞き、そこでなら学べることがあるのではと思い受講を決めました。

顎関節症のみのセミナーを受講するか、年間認定医コースで受講するかは⾦額も⼤きく違うため悩みましたが、咬合についても学ばないと⾃分の望む顎関節の完治については学べないと思い、年間認定医コースに決めました。

咬合認定医を受講して一番、印象残っているコースはありますか?また、それはなぜ、印象に残っていますか。

1番は決められません。笑
全て余す事なく必要な知識だからです。

咬合に関する歴史から始まり、咬合について、顎関節について、幼児の⼝の機能について、⼊れ⻭について、⾼齢者の⼝の機能について、⾃費診療を取り⼊れていく⽅法について、全て⻭科医師ならば知っておくべき内容であり、知って損はない内容だと思います。

個⼈的に感じたことは、私が咬合認定医コースを受講したのが妊娠中で、産後に症例発表や認定試験を受けさせてもらいましたが、幼児の⼝の機能に関しては、産前に受講して本当に良かったと思います。

⼝の機能は乳幼児の育児でとても重要で、ミルクの量が安定したら質の良い睡眠をとってくれ、⾆位が安定したら体幹も良くなり、⿐呼吸が安定したら⾵邪をひく回数が減り、その後は離乳⾷や発語にも影響を与える⼤切な情報ですので、いつか妊娠出産を考えている⼥医の⽅には、是⾮とも産前に受講をおすすめしたい内容でした。(ご家庭のある男性医師や⼩児をみる機会のある全ての⻭科医師も!)

咬合認定医の講師陣の印象はいかがでしたでしょうか?(座学と実習での違いや分かりやすかったポイントなどがあれば教えてください)

座学は咬合の基礎知識が無いとついていくのが⼤変かもしれませんが、IPSGのYouTubeで⼤切なポイントは予習復習が出来ます。私は予習をしてから受講して、座学ではYouTubeでは⾜りない情報をノートに付け⾜すような⽅法で受講しました。年間コースだと忘れてしまう事もありますので、YouTubeでの復習をオススメします。

またIPSGのホームページのQ&Aも⼀読しておくと、更にわからないところを当⽇質問出来るので有意義な時間を過ごせるかと思います。

座学はスライドショーの情報量がとても多いので、頭がパンクしそうになります。笑
しかし、講師の先⽣⽅が皆さん優しいので、どんな初歩的な質問でも⼼よく受け⽌めて理解するまで話を聞いてくださるので安⼼です。

実習では講師の先⽣もですが、受講⽣の先⽣⽅皆さんが患者を第⼀に考える優しい先⽣ばかりで、学⽣時代の実習時間よりも和気あいあいとして楽しい時間を過ごせて、あっという間に終わってしまい寂しいぐらいでした。

私は咬合器に触れるのが学⽣実習以来で、咬合器実習はわからないことだらけでしたが、1から丁寧に何度でも教えてくださるので、全く咬合器に触れた事がない先⽣も安⼼して受講できます。

私は途中で出産があり2年越しで認定医コースを卒業しましたが、1年振りの参加の際も講師陣の先⽣があたたかく迎えいれて下さり安堵しました。とても感謝しております。

第8 回咬合認定医コースでの『症例フォローアップ』に関して教えてください。

私は顎関節症の症例を発表しました。講義で習った通りにマニュピレーションを⾏い、印象採得、フェイスボートランスファーをして咬合器に付着し、MRI検査の診断結果と照らし合わせて咬合診断を⾏い発表しました。

講義で習っていても、実際の⾃⾝で患者さんに⾏うと失敗もあり、フェイスボーを採りなおしたりなどのハプニングもありました。また、⾃⾝の咬合診断で正しいのかも不安がありました。発表後にその場にいる先⽣とディスカッションを⾏うことにより、⾃⾝の気づけなった点や診断の着⽬点などのアドバイスをいただき、⼤変学びになりました。この症例発表後に実際咬合調整を⾏い、その後の患者の経過は良好です。

この症例フォローアップがなかったら、最初の⼀歩を⼀⼈で踏み出すのに勇気がいりますが、この機会があることで、否が応でも症例を出すために試⾏錯誤しながら咬合診査を⾏うため、とてもいい経験だと思いました。この最初の1症例は⼀⽣忘れない症例だと思います。

咬合認定医を受講された今、具体的にどのような形で学びが活かされていますか。

5つあります。

1つ⽬は、産前に幼児の⼝の機能について学べたお陰で、⾃⾝の⼦供の発達発育に不安がなく余裕がある育児が出来ました。

2つ⽬は、現在訪問診療をメインで働いているのですが、フルデンチャーの咬合採得が以前よりも確実に早く的確に出来るようになりました。同じく咬合調整も上達して、セット後無調整の症例がほとんどです。 
訪問での保険治療になるため咬合器は使⽤していませんが、基礎となるメカニズムが理解出来たら保険治療でも⽣かされてくる知識だと思います。

3つ⽬は、症例フォローアップで出した顎関節症の症例で、咬合調整後に顎関節のみならず姿勢が改善したことです。私たちが治療する⼝腔は⾝体に⼤きな影響を与えることを実感しました。

4つ⽬は、患者とのコミュニケーションです。講師の先⽣⽅の話し⽅が素晴らしく、上⼿に話題を提供し、聞き上⼿で、決して相⼿を否定せず、しかし正しい⽅向に導くトーク⼒が本当に素晴らしいです。講師の⽅と雑談するだけでも、診療時のコミュニケーションに⽣かされると思います。

5つ⽬は、ライフスタイルについてです。仕事と家族と⾃分を⼤切に、3つをバランスよく⾏うことが⼈⽣において⼤切なことだと講義でも稲葉先⽣は教えてくださります。また、雑談でも講師の先⽣⽅がご家族を⼤切にしているのが伝わってくるので、家に帰るといつもより家族にやさしくできます。笑

今後、咬合認定医コースで学ぼう、あるいは検討されている先生方にメッセージをお願いします。

咬合について不安がある先⽣、フルマウス症例を⾏う機会が多い先⽣は知っておくべき知識だと思います。顎関節症の症例で悩んでいる先⽣や、現状の⾃⾝の治療になにか違和感や疑問がある先⽣も答えが⾒つかるかもしれません。

私は受講してみて、今までの点での知識や経験が⼀気に繋がって、今までの知識の本当の理解できた感覚がありました。
⼜、開業後の医院⻑は孤独になりがちで、難しい症例の時になかなか相談できる相⼿がいないため、⼀⼈でつらい思いを抱えている先⽣も多くいらっしゃると思います。私⾃⾝も育児が落ち着いたら開業を考えていますが、⼀⼈でやっていくのにとても不安がありました。

しかし、こちらのセミナーは卒業したら「はい。さようなら。」ではなく、講師の⽅もその後も相談に乗ってくださりますし、⼀緒に受講した同期の先⽣⽅も卒業後も仲良くしてくださるので、開業しても孤独にならず相談できる仲間ができて勇気が持てます。

これから開業の先⽣や、今開業していて相談できる相⼿がいない先⽣はとても⼼強い仲間でできると思いますので、特におすすめだと思います。

その他

稲葉先生へ

咬合について、⾆位・⾆⾻が姿勢に与える影響、接触・嚥下について、顎関節について、いろいろと⾃⾝で学んだこと・経験の点が、IPSGのセミナーに参加してやっと、点と点が繋がって理解でき、⾃分が求めていた治療がこれだと、⾃分が思っていた顎位はこの中⼼位だと、すとんと腑に落ちました。

IPSGの咬合認定医コースは私にとっての⼈⽣の分岐点の1つだったと思います。

もっと早くに出会っていたらあの症例は治せたのでは?などと思う反⾯、沢⼭の経験や失敗をしてきたからこそ、今稲葉先⽣のこの⾔葉がすとんと受け⼊れられている可能性もあり、複雑な気持ちです。今後この分岐点から良い治療を提供できる⻭科医師になれるよう精進していきたいと思います。

2年間ありがとうございました。まだまだ、学びたいことが沢⼭ありますので、再受講や、上下顎同時印象など受講していこうと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

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