Questions歯科治療に関するQ&A
Q:コーヌスクローネはどうして評判が悪くなってしまったのでしょうか?
ドイツでは、インプラントと併用したコーヌスクローネも沢山行われています。
レジリエンツで対応できない、リーゲルテレスコープでもできない症例の時、コーヌスクローネは大きな効果を発揮します(*^^)v
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Q.1980年代、コーヌスクローネ全盛だった時期がありましたが、現在、どうして評判が悪くなってしまったのでしょうか?
私自身、稲葉先生から教えていただいた方法で、大変良い結果を得ています。
うまくいかなかった先生方はどのような手法だったのでしょうか?
コーヌスクローネの正しい製作法に関しての本などありましたら、教えていただきたいと思います。
A.1980年代コーヌスクローネが臨床家の間に広まりました。
それは医科歯科大学の先生方によりコーヌスクローネの本が翻訳され、一部のスタディグループの先生方により爆発的に流行りました。
しかし10年間位で下火になりました。
色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまいました。
原因はパーシャルデンチャーの設計の問題を始め、製作方法、使用金属、適応症等が統一されて無いために、失敗につながってしまったためだと思われます。
コーヌスクローネは、次第に使われなくなり、評判を落としてしまいました。
しかし私の場合にはその様な失敗は無く、多くの症例で30年以上の経過を保っています。
何が違うのか・・・
それは、私がドイツのチュービンゲン大学に客員教授として、E.ケルバー教授のもとに滞在している時に、幸いな事に多くのテレスコープを経験し、一次情報を得てきたからだと思います。
ドイツでは、コーヌスクローネはテレスコープシステムの中の一つで、特別な方法ではありませんでした。
私は、コーヌスクローネは勿論の事、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、アンカーバンドテレスコープ等様々なテレスコープシステムを使い、
幅広く歯根膜負担から残存歯が3歯までのケースに応用出来る粘膜負担まで、テレスコープはすべてのケースをカバーすることができることを知りました。
特にリーゲルテレスコープは応用範囲が広く、回転リーゲル、旋回リーゲルを使っていました。
これ等のテレスコープシステムによる臨床を実際にドイツで経験する事が出来ました。
その事が現在までの私の臨床の基本になっています。
1980年に帰国をしてみると、コーヌスクラウンという名前で一般の臨床家の間で広まりつつありましたが、実際にドイツで行っている臨床と製作システムが大きく異なっていました。
使用金属は金銀パラジウム合金が使用されていて、ドイツで使用していた、ゴールドとは似ても似つかないものでした。
私がドイツで、学んだ方法とは全く違っていたのです。
金銀パラジウム合金は長期使用で、精度が狂います。
そこで正しい「コーヌスクローネ」を広めなければならないと考え、松風カラーアトラスに「コーヌスクローネ」と「リーゲルテレスコープ」を出版しました。
特に大きな違いは、日本の指導者は削除量が多いので支台歯を抜髄しなければならないと指導していたことです。
抜髄する事がトラブルの原因となり、、歯根破折を起こし、コーヌスクローネの評判を大きく落としてしまいました。
ドイツでは、コーヌスの支台歯には原則として生活歯を使わなければならないということでしたが、日本では全く逆でした。
さらに、支台歯を守るためにはパーシャルデンチャーの設計の基本を知らなければなりませんが、強支持型のパーシャルデンチャーの設計は殆ど知られていませんでした。
特に、コンビネーションのケースに使われる「トーションバー」や「シュパルテ」という、支台歯の破折を防止する大連結歯の設計は知られておらず、支台歯の破折を防止する対策が全くなされていませんでした。
その様なことが重なり、コーヌスクローネの評判を落とした理由に結びついていると考えています。
臨床で使われるテレスコープシステムはコーヌスクローネだけではありませんので、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ等を適材適所に使い、臨床の幅を広げていただきたいと思っています。
さらに、最近ではインプラントとの併用により、さらに良い結果が得られていますので将来に期待したいと思っています。
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当時稲葉先生が出版した
『正統派コーヌスクローネ』が冊子になりました!
他では入手することができない一冊、販売もしておりますので、ぜひお手に取って頂けたら幸いです。