Seminar reportセミナーレポート
’19 8/3,4(土,日)『顎関節症ライブ実習コース ~咬合からのアプローチ~』開催されました①
2019年8月3,4日と2日間、顎関節症Live実習が行われたので報告させていただきます。
毎年、全国から沢山の歯科医師・歯科技工士の先生方にお越し頂いている大変人気のセミナーとなっております。
2日間で診査診断から咬合調整による顎関節症治療までのステップを全て見る事ができます。
昨今、咬合と顎関節症は関係がない。というような風潮があります。
しかし、ある学者は顎関節のことを『第4大臼歯』と述べてられたように、関係がない訳がないのです。
またTooth Contact Habitというような考え方もあり、その治療法は歯と歯を接触させないようにすること。
しかし、歯と歯を接触させないことで本当の原因の除去になっているでしょうか?
逆に言えば、歯と歯を接触させることで顎関節が痛むならば、原因は『咬合』にあるのではないでしょうか?
そして、咬合と顎関節症が関係しているならば、治療を行うべきは歯科医師です。
顎関節症を精神的な問題で片付けるのではなく、しっかりと関係を理解し、原因の除去を行うことは歯科医師の大切な仕事であります。
今回の顎関節症Live実習では、この咬合と顎関節症との関係について1つ1つを講義と実習を交え理解していただき、顎関節症治療を行なっていく、まず見る事が出来ない貴重なセミナーです。
また初めてIPSGのセミナーに参加される先生方にも十二分に理解し、楽しんでいただける内容となっております。
まず初めにIPSG最高顧問稲葉繁先生に顎関節治療や咬合との関わりを講義をしていただきました。
次に患者さま情報です。
・15年くらい前に歯の痛みを感じ歯科大学を受診したところ顎関節症と診断された。
・その時に「アイーン体操」という顎を出して引く運動を指導され、1日に数回行っている。
・就寝時の歯ぎしりがひどい為、マウスピースを毎晩装着している。
とのことでした。
そして患者さまの診査診断が始まりました。
まず全身のバランスや顔貌の対称性などを評価します。
患者さまは右肩が上がっており、筋触診を行なっても右側の筋肉を痛みを感じています。
このようの所見も顎関節治療の大きなヒントとなります。
次に口腔内所見です。
患者さまは矯正治療をされ、上顎右側3番が抜歯されており、上下ともに臼歯部クラウンには伵頭がほぼない状態でした。
また初見での開口量は25mmでしたが、マニピュレーションを行い48mmとなりました。
<マニピュレーション前>
<マニピュレーション後>
患者さまはこんなに口が開いていなかったんだ!と驚かれていました。
次にスタディモデルの採得、中心位・側方チェックバイトの採得、フェイスボウトランスファーの採得を行い、咬合器に付着し、1日目は終了となりました。
また岩田光司先生にMRI画像の解説もしていただきました。
MRI画像を正確に診断し、joint effusionの有無や関節円板の位置を把握することにより、よりスムーズに診療を行えます。
そして1日目のセミナー終了後に懇親会が行われました。
IPSGスタッフ一同、受講して頂いた先生方と親交を深めることができとても楽しい時間を送ることができました。
2日目は模型分析、Kavo アルクスディグマⅡによる機能分析、ドップラー聴診器による診査、顎関節治療など盛りだくさんの内容となっています。
以上で1日目は終了となりました。
レポート:稲葉歯科医院 歯科医師 林聡一
▼レポート②はこちら
https://ipsg.ne.jp/tmd-live-seminar-2019-report2/