Seminar reportセミナーレポート
’16 12/18(日) IPSG Scientific Meeting2016「The Longevity」~ 学術大会 開催されました③榊原功二先生 教育講演
レポート 歯科技工士 石川太一
午後は教育講演として、榊原功二先生に「シークエンシャルオクルージョンに基づいた、咬合再構成」というテーマでお話いただきました。
先生のワックスアップは、すべて歯科医師の方々から教わり、その技術は自分にとって一生涯の武器になると思われたそうです。
その後、オーストリア、ウィーン大学に留学され、ルドルフ・スラヴィチェック博士に師事されます。
「シンプルに、スマートに作る」というスラヴィチェック博士の言葉を念頭に置き、犬歯誘導型のシークエンシャルオクルージョンの制作を実践されています。
まず、咬合機能の回復には、成長発育段階の顎顔面と咬合の変化が重要な情報の1つとなります。
そして、様々な咬合様式は、骨格に結びつくものであり、生体に調和するものでなくてはならないという理論のもと、ブラキシズムを考慮した咬合再構成を行っていらっしゃいます。
中でも、一番最初に萌出する大臼歯は、最も重要なポイントであり、斜走隆線などの咬合面形態は咬合のカギとなるものです。
咬合面の展開角については、7→6→5→4→3の順に、後方の歯から犬歯に向かうに従い急峻になっており、その結果、側方運動時、犬歯から後方の歯牙を離開させます。
咬合器上では、通常の固定された切歯路角の場合、後方に向かうに従って離開度が大きくなってしまい、食べ物の切削効率が落ちてしまうのを防ぐため、カスタムされた切歯路角を用いて離開度を調整して、後方から順次離開させます。
ワックスアップに関しては、コーンテクニックを用い、中心位の設定から行い、側方運動時のガイダンスから制作していき、上下顎大臼歯における1歯対2歯の、咬合の獲得を目指します。
その際に角度の異なるシークエンステーブルを用い、順次ガイドをワックスアップで構築していきます。
そうすることで、咀嚼に適切で顎関節にダメージを与えない順次離開咬合を与えることができるそうです。
ガンマシステムを使用し、顎の動きを計測、解析します。
先生の正確に計算された数値を用いて行う咬合再構築は、ただ単に経験や勘で作られることの多い技工物とは一線を画した、科学的根拠に裏打ちされたものであり、今後の指針となるべきものであると感じました。