Seminar reportセミナーレポート
’15 7/18,19,20(土,日,月祝)『総義歯ライブ実習コース』開催されました【その1】
2015年7月18日19日総義歯ライブ実習コース ①
レポート:歯科医師/小西浩介先生
1日目
IPSGでは毎年7月の海の日の三連休は、3日間総義歯患者実習コースが開催されます。今年は7月18、19、20日に開催されました。
今年で21回目の開催となりますが、今年も早くから満席でキャンセル待ちの好評ぶりでした。全国からお集まり頂きました先生方、本当にありがとうございました。
この実習コースの内容は、IPSG最高顧問の稲葉繁先生が考案した総義歯製作のシステムである上下顎同時印象を用いて、実際の患者様にたった3日間で総義歯を製作し、お昼ご飯をご一緒するという斬新なものです。
私自身も毎回稲葉先生が3日間で、本当に噛めて機能する総義歯をとても簡単そうにつくるのを見てきました。まるでショーを見ているようで、本当に自分でもできるのかなという思いになります。
今まで受講された先生方も、やはり稲葉先生だからできるシステムだとお思いになったことはないでしょうか?
受講される先生方にとって大切なのは、稲葉先生でなくても、自分でもこのシステムを用いれば結果がだせるのかということだと思います。
その疑問にお応えできるように、今回は患者様のデモ実習をIPSG副会長の岩田光司先生に行って頂きました。
岩田先生が患者様のデモ実習を行いながら、稲葉先生が解説・実習して頂くことで受講する先生方に、より臨場感を感じて頂ける実習コースになったと思います。
今回の実習コースも、IPSGが所有する研修会場で行われました。当研修会場では、天吊りカメラで余すところなくライブで大きな画面でも見て頂けるようにしています。
実習コースで詳細に見たかったのによく見えなかったということはありませんので、ご安心して頂きながら研修を受けて頂くことができます。
今回の3日間実習コースの内容を3つに分けて、レポートで報告させて頂きます。
まず、このシステムの魅力の一つは臨床ステップが簡単で、かつ少ない来院回数で完成できるように構成されているところです。
臨床ステップとしては
1日目にスタディモデルの印象採得・咬合採得・フェイスボートランスファー
2日目に個人トレーでのゴシックアーチの描記・上下顎同時印象・試適
3日目に完成義歯装着です
まず、1日目です。
上下顎総義歯を製作する前に、まずは口腔内の触診から始めます。
顎堤・口腔粘膜を触診をすることで模型には現れない骨の鋭縁や吸収程度を把握することが重要です。
そして、スタディモデルの印象採得です。
今回の患者様のように顎堤の吸収が著しい場合では、従来の印象方法ですと非常に難しく感じてしまいます。
義歯が口腔内であそばないようにするために、十分なスタディモデルの印象採得をする必要があります。
上下顎ともアキューデントトレーを用いて、アルギン酸による二重印象でスタディモデルの印象採得を行います。アキューデントトレーを用いることで、下顎のサブリンガルルームの部分もきれいにとることができ、十分な印象採得を行うことができます。
また印象精度をあげるために、アルギン酸は自動練和機を用います。
次にSIバイトトレーを用いて、咬合採得とフェイスボートランスファーを同時に行います。
このSIバイトトレーがあることで、従来の咬合採得が非常に簡便でかつ正確にとることができます。
上下顎のスタディモデルが出来上がりましたので、SIバイトトレーを用いて稲葉先生がKaVoのプロター咬合器に模型を付着していきます。
そしてゴシックアーチの描記と上下顎同時印象を行う個人トレーの製作を、咬合器上で行って頂きました。
稲葉先生が考案されたゴシックアーチは、描記ピンが歯列上にある3点式になっています。従来の1点式では、どうしても舌を阻害してしまい顎位に影響がでてしまう恐れがあります。
また中央の描記ピンはクリステンセン現象を考慮し、スプリング式にしています。このように、このシステムは稲葉先生が細かいところまで考え尽くされています。
あとはこの個人トレーで、2日目にゴシックアーチの描記と上下顎同時印象を行います。
初日終了後の懇親会の様子です。
IPSGでは卒後間もない先生からベテランの先生まで、歯科医師、歯科技工士問わず参加して頂いております。したがって先生方で様々な情報交換ができ、親睦を深め和気藹々と研修会を受けることができます。
そして毎回、懇親会後の次の日には、受講されている先生方同士すっかり仲良くなっています。初参加の先生も、気兼ねなくIPSGにご参加して頂けたらと思います。
2日目の内容は次のレポートにて報告させて頂きます。
レポート:歯科医師/小西浩介先生