Seminar reportセミナーレポート
第19回IPSG学術大会が開催されました☆
IPSG事務局、稲葉由里子です。
2012年12月2日、第19回『IPSG学術大会』が開催されたので、ご報告させていただきます☆♪
今回、日本歯科大学100周年記念館で開催されるにあたり、稲葉先生の元医局員の先生方に沢山協力していただいたこと、心より感謝させていただきたいと思いますm(__)m
トップバッターは、稲葉歯科医院勤務の佐藤孝仁先生です。
『二年目の歯科医師が稲葉歯科医院で勉強したら』
稲葉歯科医院に務めて半年がたち、気を付けている事は・・・・
女性ばかりの職場なので嫌われないようにする!!だそうです(笑)
今もそうですが、あまり診療する機会はありません。稲葉繁先生の診療のアシストがほぼ私の仕事の内容です。
しかし、先生の診療を見させていただき、きちんとした知識を学んでから診療をする方が、何も学ばずに経験だけを頼りにした診療より質の良い診療をできるようになると私は思います。
卒後二年で、こんな風に長い歯科医師人生を大事に考えているということがすごいなって思いました。稲葉歯科医院では、顎関節症の問診、診査診断はすべて佐藤先生にお願いしています。
もちろん、今回の発表は完璧でした。
これからも、稲葉繁先生の歯科医師としての哲学を学んでいきたいと最後に伝えた、立派な発表でした☆♪
そして佐藤孝仁先生のお父様でいらっしゃる、佐藤孝明先生の発表です。
発表前・・・
「もう緊張しちゃって、まいっちゃうな~」とおっしゃっていたのが、ウソのよう。まるで、大学の教授のようでした(笑)
『稲葉先生との出逢いについて』
一応台本をお持ちのようですが、先生がお話しされたいことをそのまま自由に表現されているようにお見受けしました<(_ _)>
若い先生方に対して、これから楽しい歯科医師人生を送るためにぜひIPSG、稲葉繁のもとで勉強をすることをおすすめしたい。とおっしゃっていただきました。
そして、大切なことは「TPPではなくて、TTPなんです!!」
TTP?なんだろう・・・と思っていると、「徹底的にパクる。徹底(T)的(T)にパク(P)る」と極意を教えていただきました^_^;
そして、石原明先生の著書「すべてが見えてくる飛躍の法則~ビジネスは三人称で考える~」の三人称目線の大切さをお話しされていたのは、さすがだなって思いました。
患者様を治療や義歯の設計をするとき、「稲葉教授だったらどうやって考えるのかな」っていつも三人称目線になって考えるようにするとおっしゃっていました。
佐藤先生はもちろん沢山のテレスコープ症例をお持ちです。
ある患者様のお話し、値段が少し高いなと思われたそうですが、お孫さんから「おばあちゃんの歯が素敵!」って言われた瞬間、値段は忘れてしまったそうです。
そういうことなのですよね。
今回佐藤先生から、沢山の歯科哲学を教えていただきました。そして、この日のために新調したスーツがとてもお似合いでした(^_-)-☆
続いて飯塚会長の『歯科医が行う口腔ケアー』
もうすでに飯塚会長の講演を聞かれている先生も多いかと思います。
今回、あ、そうだったんだ。ってはじめてわかったことがあります。
飯塚先生のお母様が亡くなる前の2年間、胃ろうをつけていたということです。お母様へその間必死で口腔ケアを行っていたそうです。きっとこの時、医科の口腔機能や嚥下のリハビリが欠けていること実感されたのだと思います。
年々介護認定者が増え続けています。
1000万人の要介護高齢者の口腔リハビリは誰が行うのでしょうか?歯科医師過剰と言われていますが、はっきり言って足りないぐらいです。
総予算は限られています。その中には口腔リハビリは全く考えられていません。
口腔機能が回復して食欲がでれば体力もついて免疫力がアップし、QOLも上がるというのに・・・
嚥下機能を深く理解しているのは歯科医ですし、これから様々な施設、団体に啓蒙していきたいと思います。という力強い言葉がありました。
そして、最後にラビリントレーナーのエステ版、『頬麗美人』 の宣伝もありました(^_-)-☆
続いて、歯科工房OKABE、総義歯実習コースでは稲葉先生の右腕となり活躍していただいている技工士の岡部宏昭先生です。
『技工士からの提唱~技工士の現状と今後~』
日本国内の歯科技工士の実態に私たち歯科医師はきちんと向き合う必要があると思います。およそ10年以内に爆発的に技工士が減少すると予測されます。
「なぜ減り続けるのか」
技工士の平均年収380万円といわれています。(本当はもっと低いかもしれません)
時給1490円
月収29万円
ほとんどのラボが残業をつけていない。そして、実は残業時間100時間ぐらいはしています。
資格があるのに、この状態だと、どんどん離れてします。若い技工士が離職してしまうのは、当然といえるのでは・・・。
現在、補綴物の海外発注が急増し、国内のラボは自費の激減により倒産が相次いでいます。補綴物の海外発注が弊害になり値崩れ、質の低下をおこしているのです。
●技工士の平均寿命は63歳
欧州では歯科技工士の塵肺率が13%というデーターがとられているそうですが、基準も対策も定められていないのが現状です。
●長時間労働による過度の睡眠不足
●時間に追われながらの作業の連続による強度のストレス
●高い率の肝機能障害者と肝炎発症者
●規則ただしくない日常の連続
ようするに、技工士は歯科医からの分配で成り立っている川下産業であるという、技工士の現状をお話しいただきました。
稲葉先生からのコメント、
「人の命を犠牲にして自分が生きてるなんていうのは、恥ずかしい事。技工士も国から統制されていたものをそのままやっていたら苦しいんです。」
「日本の技工士レベルは実はとても高い。保険の仕事とは離れ、IPSGでは、技工士としっかりと連携をとり、安全でストレスなく、質の高い仕事を目指していきましょう。」
ということでした。
技工士減少問題はとても深刻です。IPSGには認定技工士制度がありますが、これからも自費診療専門の技工所の育成に携わっていきたいと思います。でないと、IPSGの会員の先生方は困ってしまいますから((+_+))
そして、IPSGに入会して15年の太田裕明先生です。
『咬合についてきっと皆さんが知りたいこと』
「咬合学」について太田先生ご自身が悩んできたことを、今回先生方に理論的にお話しをしてくださいました。悩まない咬合紙の使い方について、なるほど・・・って納得です。歯に対する脳の感度は、10ミクロン程度を感知するそうです。ということは、咬合紙よりも薄いです。
全体を噛み合わせた時、咬合紙をどのように読み解くか、そして削る量はどのくらいかということを詳しくご説明いただきました。中心位で力の抜けない患者様への対処方法、先生も苦労されたとおっしゃっていましたね。ぜひ、試してみてくださいね。
フェイスボートランスファーも、正中が1㎝ずれたら、どれだけ模型がずれてしまうかというお話しをいただき、なんとなく恐ろしくなりました((+_+))
ポーセレンの破折がなくなる方法など、すぐに役立つ情報盛りだくさんでした。太田先生のお話し・・・簡単・・・なようで、奥深く、難しかったです。
後日、太田先生にQ&Aのコーナーでお答えいただこうと思いますので、ご安心を☆
2010年IPSGに入会された木谷光輔先生
素晴らしい経歴をお持ちなのですが、今回、所属学会の数もすごいということがわかりびっくりしました。
『IPSG研修会(稲葉・先生)との出逢いにより、得たもの失ったもの』という少し過激なタイトルでした。先生は、紆余曲折を経て、稲葉先生にたどり着きました。日本の教育制度は、国家試験対策ばかりです。
いつ・どこで・何を・誰から学ぶのかはとても大事な事です。
木谷先生が稲葉先生に出会う前の総義歯や咬合に対する悩みなどをお話しくださいましたがその中でもテレスコープの悩みというのがありました。
テレスコープの悩み
- 先代からコーヌスクローネを学んだ。
- そのコーヌスは日本式コーヌス。正統派コーヌスではない。
- 15年症例・20年症例もザラだったが、そうではない症例もまた少数ながらあった何故?
- 歯頸部歯肉の退縮が生じているケースばかり。
- 設計に疑問があったが、学びの場がなく、書籍も絶版ばかり。まさにロストテクノロジー。
そこで、出会ったのがIPSG会員、故岡部俊一先生の講演です。
リーゲルテレスコープを紹介され、もとを辿ったら、稲葉先生だということを知りました。それ以来、IPSGのすべてのセミナーを受講されています。
そして、実際治療を行い、喜んでくださっている患者様の動画をみさせていただき、改めてテレスコープシステムはすばらしい技術だなと思いました。その他、木谷歯科医院で行われている感染予防対策についても、お話しいただきました。
木谷先生は、とてもお話上手だということがよくわかりました。もっと聞きたいと思うほどの情報量をお持ちでした☆
10年前に、稲葉先生の1年コースに参加し、今では中心位におけるフェイスボートランスファーを使ったCRマウントをしなければ、インプラントのみならず、怖くて自費診療を行えないとおっしゃる、大津義重先生です。
今回は、顎関節症の治療に特に力を入れていらっしゃる大津歯科医院で、稲葉先生に指導頂いた方法で診査・診断し治療をした結果、改善された症例を動画で見せてくださいました。
3つの大学病院で治療を受けても全く改善されなかった患者さんで、ぜひ、自分のような患者さんを減らしたいので、顔や名前を公開していただいても結構です。とおっしゃって、治療前から治療後の感想の一部始終をじっくり拝見することができ、大変勉強になりました。
IPSG副会長、岩田光司先生は『2012年咬合アドバンスコース ダイジェスト』を解説してくださいました。さすが、完璧な発表でした。
9名限定のこの実習は、DVDで撮影もされなかったシークレットライブ実習です。
一部をご覧いただきましたが、咬合について、こんなに適切で確実な診査・診断・治療計画を勉強できるセミナーは他にはないと思います。
『咬合診断アドバンス4日間実習コース前半』
『咬合診断アドバンス4日間実習コース後半』
IPSGサイトでもセミナーの模様をご紹介させていただきましたので、よかったらご覧ください。
岩田先生のすごいなって思ったことがあります。
「15年稲葉先生のアシスタントをさせていただきましたが、今回も沢山の事を新たに学ばせていただくことができて、大変勉強になりました。」とうれしそうにお話しされていたことです。
岩田先生は本当に素晴らしいなって思いました^_^
今回の特別講演は、歯科医師と医師のダブルライセンスをお持ちの金子雅史先生です。
『もう一度見直そう!~日常臨床の中の悪魔~』
歯科医療は一人の医師が行う医療行為としては、非常に幅広い範囲を要求され、他の医科分野では類を見ない医療であるということを忘れてはなりません。とお話しいただきました。
私たち歯科医師は観血処置が非常に多いです。医科の一般開業医はほとんどが非観血的で、たとえば小手術でも全身麻酔下で行われます。
●一般歯科診療室では、モニターも酸素も蘇生に用いる薬剤やキットがない
●モニタリングもしていない
●患者様の状態の把握ができない
●急変しても何がおきたのか不明
●どう対処してよいかわからない
など、様々な問題があります。そのような時どうしたらいいか・・・
もちろん、モニタリングも酸素も必要ですし、沢山必要な事はあります。でも、とにかく。
『意識がなくなったらとにかく胸を押す!押す!押す!そしてAEDをかける』
あたふたせずに119番して胸骨圧迫です。
心臓突然死で亡くなる人の数は6万人(交通事故死5000人以下)
電気ショックが1分遅れると救命率が10%低下します。歯科医院には必ずAEDが必要だと感じました。ということで、実習風景です(^_-)-☆
先生は軽々圧迫しているように見えますが、結構これが重いんです((+_+))
今回株式会社セキムラの方にも沢山ご協力いただきました。金子先生と、とても息が合ってました^_^
「これ、10分もやってたら、こっちが心肺停止だよ。」 と大津先生(笑)
でも、実習は楽しいです☆
AEDは使い方を一度経験しておけば、ナビゲーションされているので、大丈夫です!
深刻だけど、楽しい特別講演、金子先生、本当にありがとうございました。先生は医師であり、歯科医師であるからこそ、啓蒙できる大事なお話しを沢山いただきました。これからも色々な事をご教授頂きたいと思います。
さてさて、ここからはIPSG望年会です。(IPSGでは忘年会ではなく望年会と書きます)
今回は稲葉先生の退官パーティーの時にお願いした、ドイツ民謡のグループ、エーデルワイスに演奏をお願いさせていただきました☆
日本でも、ドイツのビール祭り、オクトーバーフェストなどで、演奏をされたり、全国各地でご活躍のグループです。
乾杯はIPSG名誉会員の田嶋紀一郎先生です。素敵なメッセージをありがとうございました☆
お料理も豪華でした♪
金子先生と、若手技工士のホープ中沢さんです^_^
そして、豪華賞品のくじ引きです!!
子どたちも鈴を鳴らしたり、景品を渡したりお手伝いしてくれました^_^
望年会参加者で記念写真。
「ゆりちゃん、ここでいいんじゃん。」ということで、金髪のアフロヘアーをかぶった異色な人は、私です^_^;
田中歯科器械店の毛利社長と、私と事務局長です。
私は毛利社長のファンなので、大感激です。
ということで、今年を締めくくるIPSGの学術大会も無事終了しました。これで、来る年も気持ちよく迎えられそうです(^_-)-☆
ご参加いただいたIPSG会員の皆様、スタッフ、関係者の方々、本当にありがとうございました!!