Seminar reportセミナーレポート

’25 5/11(日)『咬合認定医コース第10期・第1回目』開催されました
2025年5月11日、咬合認定医コース第10期・第1回目が開催されましたので、ご報告致します。
快晴に恵まれたこの日は、ちょうど神田祭と重なり、会場近くの神田明神周辺はお祭りの熱気に包まれていました。その賑やかさと相まって、会場内も熱意と期待にあふれ、参加者の皆さんの真剣な表情がとても印象的でした。
セミナーは、IPSG包括歯科医療研究会会長・飯塚能成先生のご挨拶に始まり、続いて佐藤孝仁先生の講義が行われました。
佐藤先生は稲葉歯科医院にて8年間勤務されたご経験から、稲葉繁先生のもとでの学びや、IPSGの理念がどのように日々の臨床に活かされているかを、丁寧に語ってくださいました。
また、受講者の先生方の自己紹介を通じて、それぞれがこのコースに参加された動機や背景も共有され、参加者同士のつながりが生まれる温かい時間となりました。
次に、IPSG代表の稲葉繁先生より、「包括歯科医療の実践」というテーマでご講演がありました。
咬合治療の歴史的背景や、歯科界の巨匠たちの功績について触れつつ、咬合理論をより身近に感じられるように、ポッセルトフィギュアを「山手線一周」にたとえて説明された例は印象的で、記憶に深く残りました。
鶯谷が中心位、田端が中心咬合位、池袋が前方位…というユーモアと分かりやすさが同居する解説に、思わず笑みがこぼれる場面もありました。身近なイメージで語ってくださる先生の話術に、会場も深く引き込まれていたように思います。
技工の視点からは、髙瀬直先生が「フルデジタルの咬合精度」「守備範囲」について講義を行ってくださいました。
近年ますます進むデジタル化の波の中で、iOSやAIの進化、ラボを介さずに補綴物を設計・製作する時代が現実に近づいている一方で、その限界や注意点についても、臨床的視点から冷静にご指摘いただきました。
とくにフルアーチ印象の精度や、バイトスキャンデータの提供の必要性など、現場で意識すべき具体的な課題が明確に示されました。「デジタルもアナログも、目的に応じて適材適所で選ぶことが大切」という言葉は、深く心に響きました。
最後に登壇された岩田光司先生からは、講義の初めに昨年夏の日本補綴学会での貴重な体験が共有されました。
医科との連携が深まりつつある現状を伺い、「口で食べさせたい」という医師の切実な想いに、歯科医療の使命と可能性を再認識する機会となったのではないでしょうか。
また、咬合治療における要点として、咬合器による診査・診断、顎口腔系のテコ作用、関節円板を考慮したアプローチについて、臨床の流れに沿って、緻密な資料と丁寧な解説をいただき、大変実りある時間でした。
今回のセミナーを通じて
「技術は手段であり、目的ではない」。髙瀬先生のこのお言葉の重みを噛み締めながら、これからも一つひとつの技工物に心を込めて丁寧に、患者様の幸せにつながる仕事をしていきたいと感じました。
次回の講義にも、今回得た学びを活かして、さらに深く理解を深めていけるよう努めたいと思います。
Weber dental labor 越津 穂
開催予定のセミナー
開催日 | セミナー名 | 講師(予定) |
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2025.8.2.SAT〜2025.8.3.SUN | ’25 8/2〜 8/3(土・日)顎関節症ライブ実習コース | 稲葉繁先生 岩田光司先生 |
2025.11.16.SUN | ’25 11/16(日)筋機能療法・エントレ | 稲葉繁先生 飯塚能成先生 |
2025.12.14.SUN | ’25 12/14(日)IPSG Scientific Meeting 2025 ~ 学術大会 〜 | 現在未定 |



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