Seminar report

’14 2/8,9 (土、日)パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース開催されました【後半】

’14 2/8,9 (土、日)パーシャルデンチャー・テレスコープシステム実習コース開催されました【後半】

2月9日 パーシャルデンチャー実習2日目
≪佐藤孝仁先生レポート≫

今回の雪は、本当にすごかったです。この大雪は、東京では10数年ぶりだそうです。

その影響で、昨日の20㎝くらい降った雪が溶けてしまっていて道はぬかるみ、道路が混んでいたり、電車が止まっていたりする様で、受講生やスタッフも足止めをされていました。

今回の研修会はこの大雪も加わり、皆様にとって思い出に残る研修会になったと思います。

それでは、2日目の講義の開始です。
ドイツで有名な車ベンツの第一号車は、1886年に作られました。

ちょうど同じ年に、テレスコープシステムという技術がStarrによって発表されました。そう考えると、その歴史は120年以上にもなります。

IPSGの研修会では有名な話ですが、ドイツでは1967年からクラスプデンチャーは作られておらず、義歯のその殆どがテレスコープシステムによるものだそうです。

この下の写真の方はCSPを作った技工士の先生で、ミリングの神様と言われている先生です。
その先生に、稲葉先生が作製したコーヌステレスコープの内冠研磨機(横磨き研磨器)を見ていただき、高い評価を下さったそうです。

また、その際に見せていただいたのが技工士の先生ご自身がなさっているリーゲルテレスコープだったそうです。

そもそもリーゲルテレスコープには、回転リーゲル旋回リーゲルがあります。

リーゲルというのはドイツ語で「カンヌキ」のことです。
リーゲルテレスコープとコーヌステレスコープと、使い分けはと聞かれる先生方が多くいらっしゃいますが、下の写真の特徴を見ていただくとある程度先生方ご自身で判断できるようになるかと思います。

稲葉繁先生はドイツに留学されているとき、チューリンゲン大学で実際に患者様の治療をなさっていました。
そこでコーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、CSPの臨床をしながら、学ばれていていたそうです。

その時の症例写真がこちらです。

この時の話ですが、リーゲルテレスコープで有名なケルバー先生に「おお、メルセデスベンツの治療をしているね」と言われたそうです。

ちょうどこの義歯の費用は、そのくらいかかるそうです。

午後は、技工士の高木先生が実際のリーゲルテレスコープや、レジリエンツテレスコープの作製の大切な部分のみのデモンストレーションをしますが、その前に、稲葉先生に実際の作成手順を詳しく説明していただきました。

この講義を聞いた後に、実際のデモをみることでよりイメージしやすいと思います。

ほとんどの先生方が、コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープなど名前すら知らない先生もいれば、コーヌステレスコープは知っているが他は知らない先生ばかりかと思いますので、実際に臨床に取り入れるにはやはり、その義歯がどのように作成されているか、どのような構造になっているかをしっかりと知っているか知らないかでは、その義歯の寿命が大きく変わってくると思います。

テレスコープシステムによる義歯治療は完璧ではありません。
完璧じゃないからこそ、セット後に壊れたなどの問題がでたときに、修理ができるようなシステムになっています。

話が前後しますが、修理をする際はやはり、テレスコープシステムによる義歯の構造を知っていることがとても大切です。

午後からはまず、午前中に稲葉先生から説明があったリーゲルテレスコープの実際の作製のデモンストレーションになります。

この研修会場では、技工士の高木先生が前でデモを行いますが、手元をカメラで撮影しているため、受講生の先生方も座ったままでデモンストレーションを見る事ができます。


高木先生は、何百症例も実際にテレスコープを作成していますので、その経験からリーゲルテレスコープの作製の際の注意点やら先生方が修理の際に必要な知識を説明しながらデモを行っていただきました。

上の写真は、片側のリーゲルテレスコープのレバーを作製している所です。
リーゲルテレスコープのレバーは既成のものではないため、プラスティックなどを用いて一から作製していきますが、それをみて参加された技工士の先生は、食い入るように見られていました。

また、先生方は繊細な仕事だと感心されておりました。
また、デモンストレーションをしながら、受講生の先生方は質問ができるようにしているため、ステップごとに理解しながら学べたと思います。


IPSGでは、この実習でも作成したような片側のリーゲルテレスコープの患者様紹介用のDVDや、それに付随するテレスコープシステムの参考書があり、販売されております。

どうやって患者様に紹介したらいいかわからない、もっと患者様にわかりやすく説明したいなど、コンサルテーションにお悩みの先生には特におすすめいたします。

高木先生によるリーゲルテレスコープの作製のデモンストレーションが終わり、次は稲葉繁先生に、テレスコープシステムの中のレジリエンツテレスコープについての説明をしていただきました。

コーヌステレスコープやリーゲルテレスコープでは禁忌というような症例に用います。
また、少数残存の場合、3歯以内の場合には基本的にレジリエンツテレスコープを用います。


稲葉繁先生によるレジリエンツテレスコープの説明終了後、高木先生によるレジリエンツテレスコープの製作時の注意点や構造といった、デモンストレーションを行っていただきました。


話は変わりますが、昨日のコーヌステレスコープ、今日のリーゲルテレスコープやレジリエンツテレスコープのデモンストレーションを見ていただくと先生方はみなさん、技工士の先生方に頭が下がる思いになると思います。

稲葉先生も、技工士は歯科医師の右腕以上で大切にしなければならないと常におっしゃっています。

高木先生のように高度な技術をもつような技工士の先生方を、IPSGでは探しておりますので、勉強なさりたい技工士の先生は、技工士価格も用意しておりますのでどんどん研修会で学んでいただきたいと思っております。
 

上の写真は横磨き研磨器で内冠をパラレルに研磨している様子です。
このように機械研磨することで、格段に精度が上がります。

細かいことかも知れませんが、こういった一つ一つのステップが後々大きな違いになってきます。
 
高木先生、二日間にわたる丁寧なテレスコープシステム3種類のデモンストレーションありがとうございました。

そして講義とデモンストレーションが終わり、今回は症例検討の時間が設けられており、三人の先生方が症例を持参していただきましたので、それについて一つ一つ稲葉先生が説明して下さいました。

複数の症例相談がありますが、一つだけ症例をご紹介いたします。

入れ歯が合わないという主訴の患者様の症例でした。
保険のクラスプデンチャーが上下に入っていました。

稲葉繁先生は、色々と詳しく説明されていましたが、簡単に言うと、テレスコープシステムにより、上下を治療しようとするととてもシンプルな設計になりますので、咬合器に付着し咬合平面を整え、上顎はコーヌステレスコープ、下顎はリーゲルテレスコープによる全顎処置が必要とのことでした。

こういった受講生の症例相談を研修会後に行うという研修会も珍しいかと思いますが、とてもリアリティがあり、参考になっているようでした。

今後もこういったことを行っていくと思いますので、IPSGの実習の際は是非、いろいろな症例相談をもってきて頂ければと思います。

今回の実習はテレスコープシステムの3種類コーヌステレスコープ、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープの講義、デモンストレーションとしていき、最後はその知識をもって症例相談を皆さんで考えていくといった内容でした。

流れとしてはスムーズな構成となっており、受講された先生方はとても勉強になったのではないでしょうか。

受講生の先生方、大雪の中大変だったと思いますが、受講して頂き有難うございます。
また、稲葉先生、高木先生、飯塚先生、岩田先生、2日間ありがとうございました。

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