Seminar report

’15 6/7(日)『ハーモニックオクルージョン~審美と咬合のハーモニー~』開催されました

’15 6/7(日)『ハーモニックオクルージョン~審美と咬合のハーモニー~』開催されました

レポート:稲葉歯科医院 歯科医師/小西浩介先生

今回の『ハーモニックオクルージョン』もおかげさまで盛況で早い段階で定員に達しました。

ご周知の通り現在の日本の歯科では、審美歯科の需要が高まっており多数の歯科用雑誌でもいかにきれいに修復したかの記事が目立ちます。その中でも、見た目だけを重視し、いかにきれいに修復するかの競い合いが多いように感じます。

しかしそのような見た目だけの審美治療で本当に長持ちするのでしょうか。一体、本当の審美とは何でしょうか。今回も臨床経験が50年を超えるIPSG最高顧問稲葉繁先生の講演が始まりました。

150607ハーモニックオクルージョン
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突然ですが、先生方はこの状態の審美的及び機能的問題をどうやって評価していますか?

一本一本が良くない、見た目に問題がある、咬合に問題がある。それだけの評価では根拠がありません。根拠がないと評価はできませんし、適切な治療はできません。そして、患者様に具体的な説明ができないと思います。

きれいに直す技術はもちろん大切です。しかし審美的、機能的にどう評価するかの技術も大切に感じます。きちんと評価ができることではじめて質の高い歯科治療ができるのではないでしょうか。

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これはクラウド・シーバーさんの天然歯牙を模倣した作品です。

クラウド・シーバーさんは世界的に有名なスイスのセラミストで、その技術は見ての通り素晴らしいものです。稲葉先生と親交があり、稲葉先生がご自宅に招いたこともあるそうです。

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このようにきれいにつくる技術は存在する一方、歯科医師は具体的な指示をされているのでしょうか。腕のいい歯科技工士に任せればいい。形成・印象して、後は技工士さんにおまかせという治療では、歯科医師は口腔内のパーツを交換するパーツ屋さんにすぎません。

そうではなく歯科医師、歯科技工士はきちんとしたルールに基づいて審美、機能を評価しお互いにやりとりすることで、質の高い治療を患者様に提供すべきではないでしょうか。

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今回の演題である「ハーモニックオクルージョン」の意味は唇面の審美、舌側の機能のハーモニーがとれていることが重要であるということです。

患者様は私たちに唇側のきれいさを求めています。しかし舌側の形態の機能の重要性も伝える必要があります。適切なアンテリアガイダンスを付与して臼歯部、顎関節を守るというような説明が必要です。

まずは審美について教えて頂きました。稲葉先生はゲーテの色彩学に基づき、石膏の色まで緻密に計算されています。このように色彩学や形態学からされるお話は深みがあり、非常に説得力があります。

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審美を評価するにはアピアランスガイドが必要です。この指標があることにより、具体的に評価し歯科技工士に指示ができます。

また歯科技工士は左右上下の全体のバランスの良い補綴物をつくることができます。この指標がないと、どうきれいかという評価は難しいように感じます。

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IPSG副会長の岩田光司先生には模型実習で実際に受講生の先生方ができるように、症例発表を交えながらアピアランスガイドの実演をして頂きました。

今回アピアランスガイドを含めた様々な審美の情報が詰まった114ページにもわたる本が参加した方全員に配布されました。

この本は稲葉先生が、1991年から4年間に渡り、日本歯科評論に連載したコラム「美の追究」という非売品です。この本を手に入れただけでも今回の参加の価値はあったと思います。

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次に機能、咬合について教えて頂きました。機能についてもまずは発生学から始まり、ワックスコーンテクニックの起源などの知識も教えて頂きました。

これらを知ることで単に歯の形態にするのではなく、機能をそなえた歯の形態をつくることができるようになります。

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機能、咬合を評価するには咬合診断が欠かせません。評価するポイントとして、具体的な被蓋の量や角度などの基準値や咬合誘導の種類などを細かく教えて頂きました。

中でも稲葉先生が大学で教育されていた頃の、有歯顎50名の咬合状態を研究した結果につきましては非常に参考になりました。

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これは稲葉先生がされた全顎補綴の症例です。このポーセレンのフルブリッジは今年で18年経過しています。しかし驚くことに、チップも歯肉退縮もほぼしていません。

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私、小西浩介は他にもテレスコープシステムによる稲葉先生の30年以上経過している患者様とメンテナンスで何人もお会いしており肉眼で確認しております。

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審美と機能のハーモニーがとれていると非常に長持ちするということがわかります。このように30年をこえ、今もなお機能している長期症例を用いて証明できるのは稲葉先生しかいないのではと思います。

見た目や色ばかりが注目されがちの歯科の現状ですが、機能や咬合をかねそなえたものだけが本当の審美と言えるのでないでしょうか。

審美、機能をはじめ咬合について、よくわからない先生は少なくないと思います。しかしご自身で全て勉強するには、とてもではないですが時間が足りないと思います。

IPSGではどの研修会でも咬合の話は必ずでてきますし、その情報量ははかりしれません。遠回りせずに臨床経験が豊富で、世界各国の名だたる先生から直伝されている情報をもつ稲葉先生から知識を身につけてはいかがでしょうか。

レポート:稲葉歯科医院 歯科医師/小西浩介先生

受講された先生方のご感想

▼IPSGの勉強会に初めて参加させて頂いたのですが、口腔内を改善することによって全身の状態まで改善されている症例を見て大変衝撃を受けました。これからもIPSGさんで勉強したいと思いますので宜しくお願い致します。

▼咬合の審美について、聞くことができてとても貴重な経験になりました。口腔外科分野でなかなか考えることをしなかったので、臨床で少しでも役立てるよう、今回学んだことを活かしていきたいと思いました。飛び入りで参加させて頂いて有難うございました。また宜しくお願いします。

▼今まで知らなかったことをご教授頂き、本当にためになりました。ますます咬合分析にはげみたいと思いました。私も30年経過を追える補綴を行える歯科医師になりたいと思いました。

▼とても勉強になりました。形態のとり方、見方、バランスのとり方、臨床に活かせると思いました。有難うございました。

▼毎回本当に勉強になります。同じ話でもまた新たな発見がありつながりが出来て楽しくなります。ありがとうございます。

▼ハーモニックオクルージョンは今回、岩田先生の症例大変勉強になりました。又、模型を使った歯の豊隆の分析基準は理解することが出来ました。有難うございました。

▼審美的には治療をしていくことにも咬合関係をしっかり理解して診断し、調整していくことが大切なんだということを今日しることができました。まだまだわからないことだらけなので、これからたくさんのことを学んでいけたらいいなと思います。

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IPSG咬合認定医コース
IPSGでは、歯の治療だけに注目せず、歯科医師が担っている「恒常性の維持」の1つである食物摂取系を支える歯科医療を目指しています。

そこでこの度、IPSGが強みとしている「咬合」に特化し、将来の包括的な歯科医師の輩出を目標に、咬合認定医コースを開始することとなりました。

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